なぜ西武は逆転勝利でCS圏内の同率2位浮上に成功したのか?
一時は遠く霞んで見えた標的をついにとらえた。リードを2度奪われながらも、必死に食らいついた埼玉西武ライオンズが逆転で3連勝をマーク。57勝55敗3分けで千葉ロッテマリーンズと並び、残り5試合となった土壇場でクライマックスシリーズ(CS)進出圏内の2位に浮上した。 今シーズン最多となる1万1392人の観客が駆けつけた本拠地メットライフドームを、5-4の逆転勝利で熱狂させた3日の北海道日本ハムファイターズとの23回戦。全幅の信頼とともに送り出された3連勝中の右腕・高橋光成が、辻発彦監督をして「ちょっとらしくなかった」と嘆かせた投球に終始。2回に3本の長短打を集中されて2点を失う。 3回に4番・栗山巧の12号2ラン、4回には7番のコーリー・スパンジェンバーグの14号ソロが飛び出して逆転しても、高橋は立ち直る兆しを見せなかった。5回一死から連続四球を与え、5番・大田泰示に同点タイムリーを浴び、球数が100球に達した瞬間に西武ベンチは高橋をあきらめた。 2番手の宮川哲もまさかの連続四球を与える押し出しで再逆転を許す。だが、6回から左腕・小川龍也、森脇亮介、平良海馬、増田達至の継投態勢に入った。もう失点はしない――フル回転で稼働し、磐石を誇ってきたリリーフ陣へ寄せる厚い信頼感が6回の攻撃で球場のどよめきを招いた。 中前打で出塁した先頭の栗山を二塁へ送ろうと、5番・森友哉がバントを試みた。初球を失敗するも2球目で成功させて、さらにスタンドをどよめかせる。6番・中村剛也の左前打でチャンスを広げ、続くスパンジェンバーグがレフトへ放った犠牲フライで試合を再び振り出しに戻した。 「相手より1点上回っていれば、後ろのピッチャーが抑えてくれる。点をガンガン取れるときもあるだろうけど、やっぱり1点1点を確実に取る形でいかないと、いまは勝ちに結びつかない状態にある」 辻監督はシーズン終盤の戦いでバントを多用してきた理由をこう説明した。 そして、こんな言葉もつけ加えている。 「ちなみに、森は自分(の判断)でやったんですけどね」