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弁護士

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見解現行のプロバイダ制限責任法(来春、情報プラットフォーム対処法に改称)にも、選挙期間中は名誉権を侵害された候補者の申出から2日以内に投稿者の反論がなければ削除できる(事業者が免責される)との選挙の特例があります(通常は7日)。 この記事で検討されている案は、投稿者の収益を奪うことで、投稿のインセンティブをなくすことが狙いとみられます。ですが選挙という政治的闘争の場では、収益があろうがなかろうが、政治的動機から投稿する人は投稿するでしょう。たしかに経済的動機だけで名誉権を侵害するような投稿は減らせる効果があるかもしれませんが、収益が重要な動画配信メディアにとっては選挙関連の配信(特にライブ)のリスクが高まり、収益化停止を恐れる萎縮効果が生じる可能性があります。 どういう場合に収益化停止を可能とするのか詳細もわかりませんし、直接的に表現の自由を制約するものではないようにみえても要注意です。

コメンテータープロフィール

慶應義塾大学卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年より誤報検証サイトGoHoo運営(2019年解散)。2017年からファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人、事務局長兼理事を約6年務めた。2018年『ファクトチェックとは何か』出版(共著、尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。2022年、衆議院憲法審査会に参考人として出席。2023年、Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット賞受賞。現在、ニュースレター「楊井人文のニュースの読み方」配信中。ベリーベスト法律事務所弁護士、日本公共利益研究所主任研究員。

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