政府分科会の資料を確認しましたが、「対策強化宣言」なるものは、法律上のものではありません。 政府は、新型コロナ対策を「基本的対処方針」に基づいて行う法的責務がありますが(新型インフルエンザ等対策特別措置法18条など)、現行の基本的対処方針には「対策強化宣言」なるものは盛り込まれていません。そればかりか9月8日、第7波を上回る感染が起きても社会経済活動を維持するとの方針を正式に決定しており、今回の発表はそれとも矛盾しています。 そもそも「外出自粛要請」は、特措法45条1項で規定された「緊急事態宣言」において初めて出せる措置です。裏を返せば、緊急事態宣言を出していないときは、そのような措置を出す権限は行政に与えられていないということです。特措法にも基本的対処方針にもない「対策強化宣言」を勝手に作り、それに基づいて外出自粛要請を行うことは、ひかえめにいっても脱法的と言えるでしょう。
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コメンテータープロフィール
慶應義塾大学卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年より誤報検証サイトGoHoo運営(2019年解散)。2017年からファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人、事務局長兼理事を約6年務めた。2018年『ファクトチェックとは何か』出版(共著、尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。2022年、衆議院憲法審査会に参考人として出席。2023年、Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット賞受賞。現在、ニュースレター「楊井人文のニュースの読み方」配信中。ベリーベスト法律事務所弁護士、日本公共利益研究所主任研究員。
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