補足加藤ローサさんが俳優業に苦手意識を持っていらっしゃったとは意外でした。近年印象に残っているのは、19年の復帰後のNHKよるドラ『きれいのくに』(2021年)です。 これは脚本・監督を「劇団た組」の加藤拓也さんが、制作統括を『いだてん』『あまちゃん』などの訓覇圭さんが務めており、「誰しもが抱える容姿へのコンプレックスにまつわるジュブナイルSF」「青春ダークファンタジー」という非常に難解かつ攻めた作品でした。 その中で加藤ローサさんと稲垣吾郎さんが演じたのは、「同じ顔が溢れている世界」の大人たち。お二人の顔のデータをとり、別の大勢の役者さんが演じている姿の輪郭にAIがデータを組み込ませる作業で進められたそうです。えもいわれぬおかしさと恐ろしさがありました。 ちなみに同作には大河ドラマ『光る君へ』藤原彰子役の見上愛さんも、朝ドラ『おむすび』のハギャレン・スズリン役の岡本夏美さんも出演しています。
コメンテータープロフィール
1973年長野県生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌・web等で俳優・脚本家・プロデューサーなどのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。エンタメ記事は毎日2本程度執筆。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。