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【私と朝ドラ『虎に翼』5】小学2年生が『虎に翼』を面白いと思ったホントのポイント

田幸和歌子エンタメライター/編集者
(写真:イメージマート)

朝ドラ(NHK連続テレビ小説)をあまり観ない、あるいはこれまで1度も観たことがないという人をも巻き込むムーブメントとなっている『虎に翼』。女性法律家のさきがけ・三淵嘉子をモデルとした、吉田恵里香脚本×伊藤沙莉主演の異色の朝ドラについて市井の方々に聞くシリーズ第5回では、小学校2年生の女子「ちいみも」さんにご登場いただいた。ちいみもさんは、お母さん(Xアカウント「mie_i_d」さん)のSNSに『虎に翼』の感想でときどき登場している。

朝ドラ視聴歴は『舞いあがれ!』から。当時、障害者の就労支援をしていた「mie_i_d」さんが仕事の雑談のネタとして、また、「15分の自分のテレビタイム」として観ていたところ、一緒に観たちいみもさんもハマった。

そこから『らんまん』『ブギウギ』に続き、『虎に翼』が4作目。『虎に翼』のどこにハマったのか聞いてみると、実に正直で新鮮な感想が返ってきた。

寅ちゃんが「はて?」って言うのが好き

――『虎に翼』を観てどう思いましたか。

ちいみもさん(以下 ちいみも) 寅ちゃん(伊藤沙莉)が結構面白かった。特に女学生のときのお話が面白くて、「はて?」って言うのが好き。明るくてユーモアがある人だと思う。

――『舞いあがれ!』から朝ドラを観てきた中で、寅ちゃんは一番好きな主人公ですか。

ちいみも 好きなのは(『舞いあがれ!』の)舞ちゃん。飛行機を漕いでいるのがカッコイイから。

――寅ちゃんが一番じゃないんですね(笑)。ちいみもさんはパイロットになるのが夢だったりするんですか。

ちいみも そうじゃないけど、飛行機(人力飛行機の模型)に乗ったことがあって、漕ぐやつじゃなかったけど、座って乗って面白かったから。でも、本当は飛行機より自転車の方が好き。

家族を殺した話は、なんで殺したんだろうと思った。

――『虎に翼』は飛行機の話と違って、法律の話だから、難しくないですか。

ちいみも ちょっと難しい。だから、意味がわかんないところはママに聞いている。

――例えばどんなことをお母さんに聞きましたか。

ちいみも 先週(第25週)、家族(父親)を殺した話。なんで殺したんだろうってちょっと思った。(註/美位子(石橋菜津美)が父親からの長年の虐待に耐え、母親が逃げた後には父親と夫婦同然の生活を余儀なくされ、2人の子どもを産まされる。しかし、仕事先で恋人ができると、父が怒り狂って家に閉じ込めて暴力を振るい、それに耐えかねて父を殺したという惨い事件)。

――お母さんはなんて説明してくれましたか。

ちいみも あの女の人がお父さんにすごくいじめられていたから、それでお父さんを殺しちゃったんだって。家族を殺すのは良くないなって思っていたけど、ちょっとわかんないと思った。あとは、航一さん(岡田将生)が本気で怒っていてビックリした(註/航一は、身内殺しの罪が一般の殺人より重くなる「尊属殺」が日本国憲法の掲げる平等に対して合憲か違憲かを大法廷で判断するよう桂場に求めたが、「時期尚早」と言われたため)。優しい家族思いの人というイメージがあったから、鼻血出るほど怒りが爆発したのは驚いた。でも、あんなに怒ったのはちょっとわからない。

画像提供/「mie_i_d」さん 「ちいみも」さんのお気に入りの写真
画像提供/「mie_i_d」さん 「ちいみも」さんのお気に入りの写真

桂場とよねさんは、たぶんだけど、ツンデレ。

――他に気になるキャラクターはいますか。

ちいみも 桂場(松山ケンイチ)とよねさん(土居志央梨)。たぶんだけど、あれ、ツンデレだね。

――(笑)。桂場とよねさんは好きですか。

ちいみも 嫌いじゃないけど、めちゃくちゃ好きでもない。どちらかというと、よねさんの方が好き。股間を蹴るのが面白いから(註/女子部の法廷劇を男子学生に妨害されて)。桂場は団子をいつも食べているのが面白い。

――(笑)。ちいみもさんが好きなキャラクターは誰ですか。

ちいみも 寅ちゃんと花江ちゃん(森田望智)。花江ちゃんは美人なところが好き。寅ちゃんが手紙を読んでいるときに(脳内に)出てくるところも面白い。優未ちゃん(毎田暖乃)も好き。のどか(尾碕真花)を蹴ったところが面白かったから(註/義理の祖母の認知症に対し、1人何もせずに逃げていたから)。あとは、ヒャンちゃん(香淑/ハ・ヨンス)。

――ヒャンちゃんはどんなところが好きですか。

ちいみも 女学生のときに、女子部がなくなると聞いて、なくさないでくれと真っ先に(学長に)頭を下げたところ。カッコいいと思った。

――女学生時代のシーン、細かくよく覚えていますね。他に気になるシーンはありましたか。

ちいみも 寅ちゃんが(猪爪家で)みんなで暮らしていた頃、荷物を持ってくる人とかがみんな窓から顔を出して挨拶するところ。普通は荷物を持ってくる人とかはピンポンしてドアから来るのに、窓から顔出すのは初めて見たから面白い。

――そこは注目したことがなかったなあ、面白いポイントに気づきましたね。

ちいみも それと、花岡(岩田剛典)が崖から落ちたところが面白かった(註/明律大の仲間たちでハイキングに行ったとき、花岡の女性蔑視発言に腹を立てた寅子がどつき、バランスを崩した)。寅ちゃんが(新潟編で諍いを止めに入って)川に落ちたところも面白かった。どっちも見たことがないシーンだった。

面白かったのは、寅ちゃんが一人でゴロゴロ寝ころんで暴れるところ。

――確かにインパクトのあるシーンでしたね(笑)。ちいみもさんにも寅ちゃんみたいに意味がわからないとか不思議に感じている「はて?」はありますか。

ちいみも それはわからない。でも、真似したことはある。ママに「見てて」と言って「はて?」をやったら、ママが「似てる」と言ってくれた。「はて?」は真似したくなる、ちょっと使ってみたくなる言葉だと思う。

――ちいみもさんは『虎に翼』を観ながらお母さんとどんな話をするんですか。

ちいみも この人どういう気持ちなのとか、そういう話をする。寅ちゃんと桂場のやりとりを見て航一さんが「妬けますね」って言ったのがよくわからなくて、「嫉妬ってこと?」と聞くとか。

――ちいみもさんは言葉をよく知っていますね。

ちいみも それと、面白かったのは、(新潟編で)優未が学校に出かけてから、寅ちゃんが「なんか仕事行きたくない~!」って言って、1人でゴロゴロ寝ころんで暴れるところ。それを、忘れ物を取りに戻った優未が見ちゃうところ。

――あのシーンは面白かったですね(笑)。ちいみもさんのお母さんも「仕事行きたくな~い!」ってゴロゴロするとき、ある?

ちいみも ない。見てみたい(笑)。お母さんに今度やってって言ってみる(笑)。

(田幸和歌子)

エンタメライター/編集者

1973年長野県生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌・web等で俳優・脚本家・プロデューサーなどのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。エンタメ記事は毎日2本程度執筆。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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