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高口康太

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ジャーナリスト、翻訳家

報告

見解多くの中国人がこうした無差別襲撃は「社会への報復」だと感じています。もちろん、実際のところはそれぞれの犯人の動機を追及しなければわからないわけですが、中国政府が取材を禁止する中、茫漠とした不安が広がっている状況です。 珠海の自動車暴走事件を受け、中国政府も対策に乗り出したと噂されています。一部地域では仕事や投資に失敗した人、離婚など家庭に問題がある人、仕事がない人などをリストアップし警戒するように、基層政府に指示がでたと伝えられています。そうした社会的弱者を警戒し危険視するようになれば、さらに差別を招き、生きづらい社会となり、また別の事件へとつながるという負の連鎖が起きることも考えられます。 「資本主義国以上に資本主義」と言われるほど競争と格差の激しい中国で、改めて、弱者をどう寛容に包摂するかが問われています。

コメンテータープロフィール

ジャーナリスト、翻訳家。 1976年生まれ。二度の中国留学を経て、中国を専門とするジャーナリストに。中国の経済、企業、社会、そして在日中国人社会など幅広く取材し、『ニューズウィーク日本版』『週刊東洋経済』『Wedge』など各誌に寄稿している。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)、『現代中国経営者列伝』(星海社新書)。

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