見解公選法は、特定の候補者を当選させること、あるいは当選させないことを目的に、有権者や選挙運動員に対して、(1) 金品その他の財産上の利益や、(2) 公私の職務を供与したり、その供与の申し込みや約束をしたり、又は (3) 供応接待やその申し込み、約束をすることを厳禁している(公選法第221条1項1号、罰則は最高3年の拘禁刑と公民権の停止)。 斎藤氏は、折田氏がボランティアとして選挙運動に参加したことは認めている。公選法はポスターの発注じたいは認めているが、今回の事実を全体的に判断すると、斎藤氏は選挙運動員である折田氏(とその会社)に対してポスター等を発注し、70万円余りを彼女(の会社)に支払ったことになる。ポスターの発注には、当然のことながら経済的な利益が発生している。つまり、斎藤氏は選挙運動員に対して財産上の利益を供与したのであり、運動買収を行なったということにはならないのだろうか。
コメンテータープロフィール
1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。
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