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園田寿

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甲南大学名誉教授、弁護士

報告

解説問題は、PR会社社長が選挙コンサルの役割に徹していなかったという点である。 選挙コンサルとは、選挙の候補者に対して選挙戦略や戦術のアドバイスを行なう専門家であって、たとえばアンケートの実施、演説内容の助言、資金管理など全体の選挙活動のコーディネートなどを行なう。あくまでも有権者の支持を獲得するための後方支援を行うのである。 他方、候補者への投票を促すために有権者に直接または間接に行なわれる活動が選挙運動であって、演説のサポートや選挙カーからの投票の訴え、ネットの活用・宣伝、ポスターやビラの配布など、候補者の支持を広める活動などである。公選法は、この選挙運動に関して、自由かつ公正な投票が不正な利益でゆがめられないように、選挙運動期間の制限や有権者や運動員に対する買収の禁止など、さまざまな制限を設けている。 両者の境界は曖昧な場合があるが、今回はこれが大きく踏み越えられたのではないか。

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  • 白鳥浩

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    法政大学大学院教授/現代政治分析

    解説SNS選挙が注目を集めた兵庫県知事選であるが、こうしたPR会社に踊らされていたという側面があったとす…続きを読む

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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