見解大麻は、約2800万年前にチベット東部の高原で進化した。ヒトによって栽培されたのは約6000年前であり、最初は食用や繊維用として、その後は鎮痛や制吐作用などがあることから、薬用としての用途が加わった。ヒトが大麻を精神活性(酩酊)目的で使用した痕跡は、約2500年前の遺跡から発見されている。このように大麻とヒトには、何千年もの良好な共存の歴史がある。 ところが100年ほど前から、大麻は危険で、ハードドラッグへの入り口になるといわれだした。この大麻反対運動に大きな影響を与えたのは、当時米国麻薬取締局長官であったアンスリンガーだった。彼は禁酒法の廃止によって開いた穴を大麻で埋めたのである。大麻が使用者に狂気、犯罪、死をもたらすと宣伝し、ヘイトや恐怖を武器に反対運動を展開した。しかし最近になって主として欧米で、大麻はその真実と実際の害との間に大きな開きのある薬物であることが分かってきたのである。
コメンテータープロフィール
1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。
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