補足過去のAKB48の成功は、2000年代後半から2010年代中期における音楽産業の構造的変化を巧みに利用した結果と考えられます。 ネットの普及でCD販売が低迷する中、AKB48は握手券や投票権をCDに付属させる「AKB商法」を展開しました。その特徴は、楽曲よりもメンバー個々の魅力と彼女たちの競争関係に重心を置いた点です。これによりCD売上に固執していたオリコンランキングを事実上支配し、「合法的な人気の水増し」を通じて大きな成功を収めました。 しかし近年、コロナ禍で「AKB商法」が破綻し、複合指標のビルボードチャートも浸透したことで、その化けの皮が剥がれたのです。 ただ劇場に立ち返って継続することは、決して悲観的な選択肢でもありません。むしろ秋元氏が当初から宝塚歌劇団を意識していたように、劇場はAKB48のコンセプトの原点だからです。秋葉原のローカルアイドルとして続くということです。
コメンテータープロフィール
まつたにそういちろう/1974年生まれ、広島市出身。専門は文化社会学、社会情報学。映画、音楽、テレビ、ファッション、スポーツ、社会現象、ネットなど、文化やメディアについて執筆。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(2012年)、『SMAPはなぜ解散したのか』(2017年)、共著に『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』(2017年)、『文化社会学の視座』(2008年)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(2008年)など。現在、NHKラジオ第1『Nらじ』にレギュラー出演中。中央大学大学院文学研究科社会情報学専攻博士後期課程単位取得退学。 trickflesh@gmail.com
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