「なんで予約せずに指定席に座ってるの?」 度々発生する新幹線での訪日客トラブル、原因はルールの違いにあり?
欧州の鉄道「指定席」ってどうなってる?
新幹線「のぞみ」などで、海外からの旅行客が勝手に自分の指定席に座っていて困った――そんな話を耳にするようになりました。しかしそれは、ルールをよく知らないだけかもしれません。例えば高速列車や特急列車が多く走る欧州は、日本と指定席のルールがどのように違うのでしょうか。 【ランプに注目】これが「自由席だけど予約席」な欧州の列車です(写真) 指定席に勝手に座っている人は、「確信的犯行で、わざと指定券を買わずに乗っているのではないか」。そんな疑いを持つ人も多いようですが、実は日本の「のぞみ」のように1編成に指定席車と自由席車が連結されている列車は、筆者(赤川薫:アーティスト・鉄道ジャーナリスト)の住む欧州ではなかなか珍しい方式だと常々感じます。そのため慣れていない観光客が日本の列車の指定席ルールを理解できないのは、無理がない話かもしれません。 「全車指定席の列車」というのは、比較的あります。例えば、ロンドン~パリ間を海底トンネルで結ぶ国際高速列車「ユーロスター」や、フランスの高速鉄道「TGV」、ドイツの首都ベルリンとポーランドの首都ワルシャワを結ぶ特急列車「ベルリン‐ワルシャワエクスプレス」です。 このような全車指定席の列車では、乗降口で指定席通りの車両に乗り込もうとしているか確認されることが多く、指定券を持っていない乗客が列車に乗り込むことは難しい状況です。ロンドン~パリ間の「ユーロスター」では、見送り客もホームに入れないように徹底されています。 一方、より一般的なのは、「全車自由席なのだけど、指定券を買えば(あるいは指定券込の乗車券を買えば)座席を予約できる」という、いわゆる「任意予約列車」です。例えば、ドイツ鉄道の高速列車「ICE」の大部分や、オーストリア鉄道の特急「レイルジェット」などが、この方式です。一等車、二等車などの区分はありますが、一等車であっても基本的に全車自由席で、座席を予約したい人は指定席券を買い足します。 車内で乗車券と指定券の検札に来ることはありますが、全車指定席の列車で一般的に行われるような、乗降口で切符を確認されることはありません。基本的には全車自由席なのですから、予約が入っていない席ならば指定席券を持っていない乗客が勝手に座って良いわけです。