提言悲惨な事件で、言葉にならない。 対策はいろいろとあるが、根本的な法的要因として、労基法による長時間労働抑止の制度を排除(適用除外)している給特法の問題を指摘したい。 給特法=残業代というお金の問題だというのは間違いだ。 給特法が公立教員から奪っているのは、残業代(という労基法の長時間労働抑止の制度の一部)ではなく、労働時間削減の制度全般である。 たとえば、給特法が廃止されたら、36協定による罰則付き上限規制により、「教諭は赴任後間もない19年5月の連休明けから2カ月連続で時間外勤務が120時間を上回り、亡くなる前の1カ月も80時間超だった」などという事態は明確に禁止される。 この後に及んで、文科省は労基法を排除する給特法維持に固執している。教員の命や健康の問題をどれだけ軽んじれば気が済むのかと、強い怒りを覚える。
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コメンテータープロフィール
1975年生まれ。神奈川総合法律事務所所属、ブラック企業対策プロジェクト事務局長、ブラック企業被害対策弁護団副事務局長、反貧困ネットワーク神奈川幹事など。主に働く人や労働組合の権利を守るために活動している。著書に「5年たったら正社員!?-無期転換のためのワークルール」(旬報社)、共著に「#教師のバトン とはなんだったのか-教師の発信と学校の未来」「迷走する教員の働き方改革」「裁量労働制はなぜ危険か-『働き方改革』の闇」「ブラック企業のない社会へ」(いずれも岩波ブックレット)、「ドキュメント ブラック企業」(ちくま文庫)など。
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