見解通常の公務員や私立学校のように、公立学校教員にも残業代を出すようにしたほうがよい、というのは、分かりやすいですし、使用者にコスト意識を高めるなど、良い点もあります。一方で、問題もあります。授業準備や部活動等はともすれば切りのない側面もあって、育児や介護など制約なく長く残業できる人の給与は上がる一方で、そうした制約のある人や働き方改革を進めた学校ほど、実質給与ダウンになります。 また、同じ公立学校でも事務職員は残業代が出る制度ですが、予算上限が厳しいなか、実態通り申請できないといったことも起きています。教員についても、いじめ対応などの必要性の高い場合は残業代を支給するが、ほかの授業準備などは支給しないといった運用になるリスクもあります。これらの問題は制度の問題(財源・予算が確保できるかを含め)と労務管理、マネジメントの問題などが混在してはいますが、どの制度にも功罪あります。
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コメンテータープロフィール
徳島県出身。野村総合研究所を経て2016年から独立し、全国各地で学校、教育委員会向けの研修・講演、コンサルティングなどを手がけている。5人の子育て中。学校業務改善アドバイザー(文科省等より委嘱)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁の部活動ガイドライン作成検討会議委員、文科省・校務の情報化の在り方に関する専門家会議委員等を歴任。主な著書に『変わる学校、変わらない学校』、『教師崩壊』、『教師と学校の失敗学:なぜ変化に対応できないのか』、『こうすれば、学校は変わる!「忙しいのは当たり前」への挑戦』、『学校をおもしろくする思考法』等。コンタクト、お気軽にどうぞ。