見解何度かコメントしているように、「〜壁」の議論は所得税の議論と社会保険料、その他民間の手当などが混在して、多用される様になったわりにはおそらくは問題の所在自体が理解されないまま、議論が進んでいる印象だ。例えば本件も大学生や短大生など特定扶養親族がいない世帯にとってはまったく無関係だ。また若くして単身で生計を立てているような人(世帯)にとっても関係しないため、見方によっては学生優遇ともいえる。最近はこうしたイメージやキャッチフレーズに引っ張られた政策が人気だが、実効性や規模に疑問も残る。また「子の年収が150万円を超えた場合は、親の所得税に関する控除額(63万円)を段階的に縮小する仕組みの導入を検討」とも記されるように、世帯全体の所得が伸びない可能性もある。国民民主党が妥協するのかどうかにも注目したい。本来であれば、こうした懸念点や課題についてもメディアはもっと解説、説明していくべきだ。
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コメンテータープロフィール
博士(政策・メディア)。専門は社会学。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援情報センターリサーチャー、立命館大学大学院特別招聘准教授、東京工業大学准教授等を経て2024年日本大学に着任。『メディアと自民党』『情報武装する政治』『コロナ危機の社会学』『ネット選挙』『無業社会』(工藤啓氏と共著)など著書多数。省庁、地方自治体、業界団体等で広報関係の有識者会議等を構成。偽情報対策や放送政策も詳しい。10年以上各種コメンテーターを務める。