見解大統領が憲法上の権限の範囲内で行った行為については刑事訴追からの「絶対的免責」を、その他の公式行為については少なくとも「推定的免責」を享受するとの判決。まだ判決文を精査していませんが、踏み込んだ内容です。 米国の建国者は、大統領が絶対王政期の君主のような存在になることがないように、どのような人物が大統領になっても大丈夫なように、権力分立などの原則を導入しました。「憲法上の権限の範囲内」で行ったことであれば免責されるというのは、一応は憲法上の歯止めはきくということですが、その解釈は難しいでしょう。反対は判事が「大統領の周りに無法地帯を作り出す」との懸念を示したのも理解できます。
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コメンテータープロフィール
専門は比較政治・アメリカ政治。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。主要著書に、『〈犯罪大国アメリカ〉のいま:分断する社会と銃・薬物・移民』(弘文堂、2021年)、『格差と分断のアメリカ』(東京堂出版、2020年)、『アメリカ政治入門』(東京大学出版会、2018年)、『アメリカ政治講義』(ちくま新書、2018年)、『移民大国アメリカ』(ちくま新書、2016年)、『アメリカ型福祉国家と都市政治―ニューヨーク市におけるアーバン・リベラリズムの展開』(東京大学出版会、2008年)などがある。
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