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中田大悟

中田大悟

認証済み

独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

報告

補足不正確な情報、憶測、不安の煽動が際立つのがメディアによる公的年金報道です。国民年金の65歳納期期間延長案は、納付を延ばせば給付が増える、というものでしかありません。今の給付水準で納付期間だけが延びるなら、それは実質的な負担増/給付削減ですが、ここで議論されているのは60歳から65歳まで空白になっている期間も納付可能にして、その分を将来の給付額に反映しようという案です。現に、厚生年金加入者で65歳まで定年延長している人は、現行制度では60歳からの保険料負担水準は変わらないのに、その保険料は基礎年金部分については掛け捨て状態になっています。こういった制度の欠点も改善できるのです。そういった最も重要なポイントをマスコミは報じませんし、それに乗じるSNSやヤフコメの書き込みも只々不正確な情報を拡散するだけです。老後の備えを考えるには、可能な限り正確な情報に接することが重要です。

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  • 門倉貴史

    エコノミスト/経済評論家

    見解一般的に60歳以降は年収が右肩下がりになる傾向が見られる。  その一方、国民年金の保険料はすべての年…続きを読む

コメンテータープロフィール

中田大悟

独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

1973年愛媛県生れ。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科単位取得退学、博士(経済学)。専門は、公共経済学、財政学、社会保障の経済分析。主な著書・論文に「都道府県別医療費の長期推計」(2013、季刊社会保障研究)、「少子高齢化、ライフサイクルと公的年金財政」(2010、季刊社会保障研究、共著)、「長寿高齢化と年金財政--OLGモデルと年金数理モデルを用いた分析」(2010、『社会保障の計量モデル分析』所収、東京大学出版会、共著)など。

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