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中田大悟

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独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

報告

補足主要国と比較した日本の課税最低限は、円安の影響も相まって、非常に低い水準にとどまっているのは確かです。この意味で、日本の個人所得課税は幅広い所得層から徴収する性格を有しているといえます。所得控除は課税最低限の水準を規定しますが、特に日本の場合、15種類の所得控除があり複雑化しています。そのため自身の基礎控除と給与所得控除しか受けられない単身者には相対的に不利な制度となっています。ここをどう整理再編していくかという大きな議論が背後にあると言えます。また課税最低限だけでなく、税率構造と他の税負担(特に消費税)のバランスも同時に考慮しなければなりません。課税最低限を引き上げるなら、高所得者や資産保有者への課税をどうするのか。また幅広い人が負担する消費税の負担が増すなら、低所得者への所得税は下げるべきではないのか、といった論点です。議論は多方面に波及していきます。

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  • 花輪陽子

    シンガポール在住FP(CFPⓇ・1級FP 技能士)

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コメンテータープロフィール

中田大悟

独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

1973年愛媛県生れ。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科単位取得退学、博士(経済学)。専門は、公共経済学、財政学、社会保障の経済分析。主な著書・論文に「都道府県別医療費の長期推計」(2013、季刊社会保障研究)、「少子高齢化、ライフサイクルと公的年金財政」(2010、季刊社会保障研究、共著)、「長寿高齢化と年金財政--OLGモデルと年金数理モデルを用いた分析」(2010、『社会保障の計量モデル分析』所収、東京大学出版会、共著)など。

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