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中田大悟

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独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

報告

見解重要なのは、厚生労働省が厚生年金財源を更に基礎年金に投入することについて、国民が納得できる理由を説明できるかどうかです。現行制度でも厚生年金の財源は基礎年金に充てられていますが、この割合を増やす正当性です。たしかにこの改正によって厚生年金加入者の将来給付見通しは概ね改善します。しかし社会保険制度の根幹を支えるのは、保険料が何に使われるのかが明確であるという透明性と信頼です。厚労省には丁寧な説明が求められます。ちなみに、現在議論されている106万円の壁撤廃(適用拡大)による給付像も、基本的にはこれと同じメカニズムです。厚労省は、説明が難しい厚生年金の財源活用よりも、106万円の壁撤廃にまずは注力し、その後に、場合によっては次期改正の課題として、厚生年金財源活用の説明を行っても良いのではないかと思います。

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コメンテータープロフィール

中田大悟

独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

1973年愛媛県生れ。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科単位取得退学、博士(経済学)。専門は、公共経済学、財政学、社会保障の経済分析。主な著書・論文に「都道府県別医療費の長期推計」(2013、季刊社会保障研究)、「少子高齢化、ライフサイクルと公的年金財政」(2010、季刊社会保障研究、共著)、「長寿高齢化と年金財政--OLGモデルと年金数理モデルを用いた分析」(2010、『社会保障の計量モデル分析』所収、東京大学出版会、共著)など。

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