風邪っぽい症状が続き…「コロナかな?」しかしその後、道端で過呼吸に。判明した病とは
糖尿病には、大きく分けると1型と2型があるのを知っていますか?一般的に糖尿病というと2型糖尿病のことを指すことが多く、2型は糖尿病全体の割合の中で90~95%であるのに対して、1型糖尿病はわずか5~10%です。 【実際の写真9枚】12キロ痩せた入院中の様子 25歳で突然1型糖尿病と診断された、たいきさん。医者から原因不明と言われ、ショックが大きくうつ状態も経験しました。しかし、病気と向き合い「人に元気を与えられる人間になろう」と決意し、現在は糖尿病患者の当事者としてそのリアルと検証をSNSで発信しています。 わずか5%といわれる1型糖尿病と診断されたときの気持ちや、病気をリアルに伝えることへの思いを聞きました。
糖尿病の中でもわずか5%といわれる1型糖尿病に…
現在28歳のたいきさんは、3年前の25歳のある日に吐き気を感じ、どれだけ水を飲んでもすぐにのどが渇いてしまい、風邪っぽい症状がありました。そのときは前日に焼肉を食べていたたため、それが原因ではないか?と考えていたといいます。 そこで病院に行ってみますが、当時はコロナが流行していた時期。コロナの検査を受けましたが結果は陰性でした。このときはまだ原因が分からず、お医者さんからは「一旦薬を出すので様子を見ましょう」と言われます。それから1ヶ月ほどの間に他の病院にも行ってみましたが、どの病院でもコロナの検査から始まり、コロナではないことしか分からなかったといいます。 そんなとき、ある病院で「血液検査をしましょう」と言われました。そこでたいきさんは採血をしてもらい、結果がでるのを待つことにします。しかし、その結果が出る前にたいきさんは道端で突然過呼吸になり、倒れたのです。そのまま病院に救急搬送され「血糖値がかなり高いから、1型糖尿病かもしれない」と初めて病名を耳にします。 その後、大学の総合病院にうつされ、緊急入院となりました。 お医者さんからは「1型糖尿病かもしれないけど、まだ断定できないから親御さんが来たら一緒に確認しましょう」と告げられました。 そこから親御さんが来るまでの間「1型糖尿病って何だろう」と思い、ネットで病気について調べてみました。そこで糖尿病には1型と2型があることを知ります。さらに1型糖尿病は糖尿病全体の5%しかいないという検索結果を見て「まさか、そんな低い確率を引くことはないだろう」と思っていました。また、もし1型糖尿病だったら「毎日インスリン注射を打たなければ生きていけない」と書いてあり、たいきさんはそんな大きな病気になるとは思ってもみませんでした。 そのため「2型糖尿病かな?何が原因だったんだろう?」と思いながら、2週間過ごしていたといいます。その当時は一人暮らしをしていたため、コロナの流行で両親にはまったく会えていませんでしたが、病名説明のときにお母さんが病院に来てくれました。1年ぶりに会ったお母さんと一緒に病名の説明を受けることに。 医者から出た言葉は「あなたは1型糖尿病です。これから毎日最低4回のインスリンの注射を生涯打ち続けなければいけません」というものでした。 2週間、担当の先生から病気について濁され続けていたため、聞きたいことがたくさんあり、病名説明のときに詳しく聞けるような状態にしていたというたいきさん。しかし、いざ診断結果を聞いたときまったく声が出ませんでした。 「声を出したら涙が出そうな状態で、思った以上にショックを受けている…」と実感したといいます。そこでたいきさんの代わりに、お母さんがいろいろと質問をしてくれました。 「インスリン注射は症状が良くなれば本数が減ることはあるのでしょうか?注射が飲み薬などに変わることはあるのでしょうか?」に対し「注射の本数が変わることもないですし、注射が飲み薬に代わることはありません」という回答でした。 また、原因について聞くと「原因は不明です。たいきさんの場合は遺伝はなく、1型は突然発症するので現代の医療では特定できていないんです」と返されたのです。 医者の回答を聞いたことによって、さらにショックを受けたというたいきさん。それには、自分に原因があれば諦めがついたという思いがあったなかで、病気が原因不明だったということ、注射の本数は減らず、一生インスリン注射を打たなければならないことを知ったからだと振り返ります。言葉が出なかったたいきさんは、その日はお母さんと1年ぶりに会ったのにもかかわらず、一言も会話ができず、病室のベッドで一人泣いたと話します。 たいきさんは身長172センチ、体重54キロでやせ型。しかし、入院中はずっとベッドの上にいたため42キロまで体重が下がり、歩くのもしんどく、階段の上り下りもできない状態になりました。 また発症した当時、病名をつけられたショックは大きかったもののあまり現実味がなく、退院するまでは楽観的で「早く退院したいな、退院したらおいしいもの食べたいなぁ」などと考えていたといいます。 注射は、食べるときの糖質に合わせて打つインスリンと、ホルモンバランスで見られる血糖値を抑制する基礎インスリンがあります。ご飯を食べていない状態でもアドレナリンで血糖値が上がったり、朝起きると活動ホルモンによって血糖値が上がったりして、食べなくても血糖値は上がることがあるのです。そのため、朝昼晩の食後のインスリンに加えて基礎インスリン、合計4回打つことにします。また、退院時には食べるものに合わせてインスリンを打つ方法を教えてもらいました。 しかし、入院中とは違い、退院後は苦労の連続でした。 血糖値を食事や運動、注射で細心の注意をはらいコントロールしなければならないのです。食べるものに合わせて注射をただ打つだけではなく、食べる分の糖質量や、活動量によってインスリンが効きすぎてしまう場合もあるため、食べた後の運動量も調整する必要があります。それらを完璧にコントロールしようと思ったたいきさんは、入院中の糖尿病食を自分で再現して作り完璧なバランスにして食べていました。 毎朝ご飯、キャベツ、納豆、豆腐などを混ぜて、それを3等分して3食毎日同じものを食べる生活を送っていました。 「ご飯は楽しみとかではなく、ただ注射を打つために食べる作業にしか過ぎませんでした」と振り返り、この生活を約3ヶ月続けていたといいます。 「ラーメンも食べないし、朝昼晩すべて同じ時間に食べ、間食もせず、ジュースも飲まない生活もしていて、自分ですごく制限をしていました。 そうしていたにもかかわらず、コントロールすることができず、なんのために注射をしているのだろうと思ってしまいました」とそのときの気持ちを話してくれました。 うまくいかなかったたいきさんは、自分のやっていることに対して「この生活はいつまで続くんだろう…」と先の見えない不安を3ヶ月くらいで感じ始めます。その後、3ヶ月間制限していたことに対するストレスなどから、ご飯を食べることが怖くなり受けつけなくなったのです。 箸を持つと自分の手が震えてしまう一方で、注射を打っているため、食べないと低血糖にもなってしまうという状態。そのため注射を打った分、飲むゼリー状のもので糖質・砂糖だけをただ摂取していたといいます。そんな生活から、うつのような状態にもなりました。