見解地方部から若い人たちが大都市圏に流出し、働いているのだから、大都市圏から地方部に資金を「仕送り」するのは当然だという発想が根強い。しかし、1960年代や1970年代の集団就職が華やかで、団塊の世代の人たちが現役だった頃は、それが正論だったが、現在ではその団塊の世代が都市部に定住し、高齢化しており、今後、大都市圏の方が財政負担の大きい高齢者問題が深刻化する。 「大都市圏の自治体=金持ち」であり、地方部の自治体を支援するのは、当たり前という発想から、まず脱却する必要がある。ふるさと納税制度は、専門家からも本来の税制を歪めているとの批判が多い制度であり、今後、大都市圏の自治体が返礼品を拡充し、地方部に対抗する様相を見せているが、果たしてそれは健全なことなのか。ふるさと納税制度そのものの歪みが拡大し、問題が多く指摘されるようになっている訳で、抜本的に再検討すべき時期ではないだろうか。
コメンテータープロフィール
1964年生。上智大学卒業後、タイ国際航空、PHP総合研究所を経て、大阪府立産業開発研究所国際調査室研究員として勤務。2000年に名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程を修了(学術博士号取得)。その後、日本福祉大学経済学部助教授を経て、神戸国際大学経済学部教授。関西大学商学部非常勤講師、愛知工科大学非常勤講師、総務省地域力創造アドバイザー、京都府の公設試の在り方検討委員会委員、東京都北区産業活性化ビジョン策定委員会委員、向日市ふるさと創生計画委員会委員長などの役職を務める。営業、総務、経理、海外駐在を経験、公務員時代に経済調査を担当。企業経営者や自治体へのアドバイス、プロジェクトの運営を担う。
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