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六辻彰二

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国際政治学者

報告

補足これまでの各国の報道によると、死傷者数は不明なものの、イスラエルの攻撃がイランの軍事拠点にほぼ集中し、懸念されていた核関連施設などへの攻撃はなかった模様だ。その意味では「限定的」というのは誤りではない。 ガザやレバノンを巡ってイランとの対立がエスカレートしながらも、イスラエルの攻撃が抑え目だったのは、アメリカ政府の反応によるところが大きいとみられる。 アメリカはやはりイランを敵視し、ヒズボラやハマスをテロ組織に指定しているが、イスラエルがイランの核関連施設や原油施設を攻撃することには反対してきた。 イスラエル政府には、アメリカの全面的支援がないままイランとの正面衝突に突っ込むことはリスクが高すぎるという判断があったとみてよい。 その一方で、ネタニヤフ首相の支持基盤である保守強硬派にはイラン攻撃支持の論調が強い。 軍事拠点などへの「限定的」な攻撃は、このジレンマの結果といえる。

コメンテータープロフィール

博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。最新刊に『終わりなき戦争紛争の100年史』(さくら舎)。その他、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『世界の独裁者』(幻冬社)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『日本の「水」が危ない』(ベストセラーズ)など。

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