解説教員不足が深刻化する中、オリンピアンを特別採用することは、卓越した人材を活用することで教員不足の解消と若手教員の支援に繋がるでしょう。教員免許がなくても、特別な資格を得られる制度として「特別免許状制度」があります。この制度はこれまで博士号取得者や実業家など、都道府県教育委員会や校長の推薦に基づき、教育委員会が実施する教育職員検定に合格した者に授与されてきました。今後は、公立学校長だけでなく私学校長にも推薦者を広げこの制度を拡充して欲しいです。また、教員の初任者が精神的な負担から休職するケースが増加しており、とりわけ20代の教員に顕著です。このような状況で、職場環境の改善と、若手や初任者へのサポートが大きな課題となっています。オリンピアン教員の持つ潜在的な能力には大きな期待が寄せられますが、特別研修やフォローアップ体制を整備し彼らが教育現場で十分に力を発揮できるようなサポートが不可欠です。
コメンテータープロフィール
1971年生まれ。スポーツ社会学者(学術博士)日本女子体育大学教授。公社袋井市スポーツ協会会長。学校法人二階堂学園理事、評議員。前静岡県教育委員長。柔道五段。上級スポーツ施設管理士。日本スポーツ協会指導員(柔道コーチ3)。バルセロナ五輪(1992)女子柔道52級銀メダリスト。史上最年少の16歳でグランドスラムのパリ大会で優勝。フランス柔道ナショナルコーチの経験をもとに、スポーツ社会学者として社会科学の視点で柔道やスポーツはもちろん、教育、ジェンダー問題にも斬り込んでいきます。著書『性と柔』河出ブックス、河出書房新社、『日本の柔道 フランスのJUDO』高文研。