解説このケースと類似している2017年の和歌山白浜・水難偽装殺人事件でも求刑は懲役20年でした。妻に不倫が発覚した夫が妻との関係を清算して死亡保険金を得るため、海中で妻を押さえ付けて溺死させたとされる事件です。 夫が関与を否認し、溺死の方法も不明で、検察側はその時間帯に現場には夫と妻しかおらず、自殺や事故死の可能性もなく、夫が事件前に「溺死 殺人」「完全犯罪」などとネット検索していたことなど様々な状況証拠を積み上げ、懲役19年の有罪判決を獲得しています。 今回の無期懲役求刑は、殺害方法として覚醒剤が使用されたといった点を含めても被害者1人のケースとしては重い部類であり、検察側としても悪質極まりない事件で、元妻の反省も皆無だとみているということになります。 とはいえ、検察側の主張にも穴があります。そのまま飲むと苦い覚醒剤をどのようにして大量に飲ませたのか、未解明のままで終わっている点です。
コメンテータープロフィール
1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。
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