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前田恒彦

前田恒彦

認証済み

元特捜部主任検事

報告

補足この報道では「最高裁は55年、裁判官15人による判断で8対7の僅差(きんさ)で上告を棄却し、死刑が確定した」とされており、あたかも元死刑囚が犯人に間違いないか否かギリギリの司法判断だったかのような誤解を招く言い回しとなっています。 しかし、裁判の争点は多岐にわたり、1955年の最高裁判決では、あくまでこの元死刑囚の単独犯であることを前提に、次の2点について裁判官の意見が分かれたにすぎません。 (1)往来危険罪を犯して電車を転覆破壊させ、人を死亡させた場合、死刑か無期懲役しかない電車転覆等致死罪が適用されるのか、それとも電車転覆破壊罪+過失致死罪に問われるのか(5名の裁判官が後者の少数意見) (2)控訴審は書面審理だけで一審の無期懲役判決を破棄して自ら死刑を言い渡せるのか、それとも被告人に不利益となる刑に変更することは許されないのか((1)の2名を含む4名の裁判官が後者の少数意見)

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  • 辻本典央

    近畿大学法学部教授

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コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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