解説無罪判決に対し、裁判所の事実認定が一般市民の感覚とかけ離れているように思えるなどとコメントしている識者もいますが、重要なのは、和歌山カレー事件などと違って裁判員裁判で裁かれており、プロの裁判官3人だけでなく、市民の代表である6人の裁判員も審理に参加し、彼らによる慎重な評議の結果、下された結論だという点です。 検察側は元妻によるスマホでのネット検索履歴や動画視聴履歴、ヘルスケアアプリによる移動データといった証拠を提示して立証を果たそうとしたわけですが、覚醒剤の取引と違い、こちらのほうは市民の普段の生活にも馴染み深いものであり、「他人ごと」ではなく「自分ごと」としてその証拠価値を判断できたのではないかと思われます。 この裁判員の男性の「ニュースや報道でみる事件と、裁判員としてみる事件では全然違うので、先入観は怖いなと思った」というコメントは、まさしく当事者でなければ語れない至言でしょう。
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コメンテータープロフィール
1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。
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