見解大学の非常勤講師の一コマ当たりの月給は、月2万円強から3万円強に過ぎず、多くが25000円前後である。例えば、月曜から金曜まで合計10コマ働いて、ようやく25万円程度、ということだ。専任講師をはるかに上回る講義数をこなしても収入は半分にも満たない。 また、通常、大学の非常勤講師は複数の大学を掛け持ちするため、交通時間も多大となる。例えば、一日に三つの大学で講義するために、通勤・移動だけで4時間以上かかるといったことも起こる。首都圏では、都内、埼玉、神奈川、千葉をまたいだ移動も頻繁である。このままインフレが続く一方で、見合うだけの賃上げがなければ大学講師の生活は成り立たないだろう。 一方、ストライキは憲法で認められた強い権利である。正当なストライキの結果生じた損害について労働者は賠償の義務はなく、業務の妨害についての刑事責任も負わない。スト権を背景としつつ、労使交渉で賃上げを実現してほしい。
コメンテータープロフィール
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。
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