見解1972年に施行された「教職員給与特別措置法」(給特法)は、当時の教員の残業時間が月8時間程度であるとされ、対応する給料月額4%相当の「教職調整額」が支給される代わりに、時間外および休日勤務の賃金は払われない。また、給特法では、原則として教員へ時間外労働を命じることができない。しかし、実際には、部活動や膨大な事務作業等、膨大な業務を任され、残業代が払われることなく「過労死ライン」(月80時間残業)を超え働いている現場教員が後を絶たない。残業禁止はお題目でしかなく、どれだけ働いても残業代も払われず「定額働かせ放題」であるからこそ、無限に業務を任され過重労働に追い込まれる構造があるだろう。このような給特法の構造を問うために現場教員たちが生み出した言葉が「定額働かせ放題」であった。文科省はNHKに抗議文を出すのではなく、給特法の廃止含め、教員の過重労働改善に真摯に向き合うべきではないか。
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コメンテータープロフィール
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。