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今野晴貴

今野晴貴

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NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

報告

見解60代で今月から雇用されていたということで、定年を機に転職し、あまり経験のない現場仕事についたばかりという高齢労災の典型が疑われる。近年、筆者が代表を務めるNPOにも高齢者の労災相談がくるようになっている。統計的にも、厚生労働省が先月公表した2023年度の労働災害の発生状況では、労災死傷病者の数は13万5371人(コロナウイルス感染を除く)に上り、2000年代で最大を記録している。その原因は高齢労働者の増加によるものであると考えられる。60歳以上の高齢者が雇用者全体に占める割合が18.7%であるのに対して、労災による死傷者数は29.3%に上っており、労働者全体の労災に遭う確率に比べて、60歳以上の労働者が労災に遭う確率は1.57倍だ。体力的にバランスを崩しやすくなる高齢労働者の安全対策は、より慎重に行われる必要があり、事故が発生した場合、損害賠償責任など使用者の責任も問われる可能性がある。

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  • 小菅将樹

    元労働基準監督官/アヴァンテ社労士事務所 代表

    解説状況の詳細が明らかでないため、原因の特定は難しいですが、高所作業からの転落災害と思われます。原則は足…続きを読む

コメンテータープロフィール

今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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