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今野晴貴

今野晴貴認証済み

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NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

報告

見解教員の未配置問題の原因は、近年社会問題となっている「教員の働き方改革」が未だ十分に進んでいないことにあるだろう。2023年に文科省が発表した調査では、国が示す「過労死ライン」(残業月80時間)を超えている教員は、中学校で36,6%、小学校で14,2%に及び今も長時間労働が蔓延している。また、文科省が昨年発表した調査では、2023年度に精神疾患を発症し病気休職した公立教員は全国で過去最高の7,119人に達している。その後、退職する教員も少なくない。公立教員へは「給特法」が適用され「教職調整額」(月給4%分の手当)が支給される代わりに、どれだけ働いても残業代が支給されない「定額働かせ放題」の状況になることで、過重労働を招いている。国は「教職調整額」の4%から10%への増額を進めようとしているが、同じ労働をしている私立や国立の教員には適用されない「給特法」は、廃止含め検討をすべきだろう。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 門倉貴史

    エコノミスト/経済評論家

    見解教員のなり手が増えない根本的な要因は長時間労働が常態化して、ワークライフバランスが全く実現できないこ…続きを読む

  • 嶋崎量

    弁護士(日本労働弁護団常任幹事)

    補足給特法に象徴される、教員の劣悪な労働環境を放置した当然の結果だ。 文科省調査によれば、令和5年度に精…続きを読む

コメンテータープロフィール

今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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