見解14日連勤の禁止や副業に対する割増賃金の支払いの免除に加えて、今回の研究会の大きなテーマの一つはテレワーク中の労働者に対する労働時間規制の撤廃についてだ。報告書ではテレワークに特化したみなし労働時間制の導入が示唆されている。 しかし、そもそもみなし労働時間制とは、就労時間に関する会社からの具体的な指示がなく労働時間の把握が難しい場合に対して一定時間働いたことと「みなす」制度だが、実際には8時間以上働いたにもかかわらず労働時間が8時間とみなされて残業代不払いの温床になっているだけでなく、過労死が起こっても実際の労働時間ではなくみなされた8時間の記録のみを会社が提出することで長時間労働を隠蔽できてしまう制度にもなっている。 具体的な業務の指示があり、画面越しで指揮命令できるテレワークにはそもそもみなし労働時間制は制度的に矛盾しており、テレワークの長時間労働を助長することにつながるだろう。
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コメンテータープロフィール
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。