見解電通やトヨタ、NHK、川崎重工業などの有名大企業では過労死が複数回引き起こされており、過労死が深刻に受け止められたとは言えない。 過労死は減っているどころか増えており、2023年度の労災申請件数は4,598件と過去最多を更新した。しかしこの数字ですら氷山の一角である。毎年、脳・心臓疾患で亡くなる20歳代から50歳代は約1.5万人おり、勤務問題で自殺に追い込まれる人が3000人ほどであること、さらには脳・心臓疾患やうつ病を発症して存命の人の数を考えると、あまりに少ない。 いま、少なくない企業では、過労死「対策」として、労働時間の削減やハラスメントの解消ではなく、過労死が起こった後のリスクヘッジとしての労働時間記録や職場環境の実態の隠蔽工作を行っている。その結果、遺族は補償も受けられずに泣き寝入りを余儀なくされている。過労死かもしれないと思ったら、すぐに支援団体にご相談いただきたい。
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コメンテータープロフィール
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。