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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

報告

見解極端にイスラエル寄りのトランプ氏が大統選に勝利したことで、ガザ市民が落胆する気持ちはわかるが、トランプ氏はイスラエルに早期停戦を求めている。これまでバイデン政権が停戦を求めてもネタニヤフ氏が拒否して戦争継続してきたのは、停戦となれば、連立極右が離脱し、ガザ戦後構想で米民主党政権が求めるガザ統治への自治政府の参加や、パレスチナ国家樹立を目指す和平プロセスの再開となり、何らメリットがないためだった。トランプ大統領になれば、2020年の極端にイスラエル寄りのトランプ中東和平構想が再浮上し、UNRWAの活動禁止も支持され、自治政府がガザ統治に加わることもなく、さらにイスラエル国内での自身の政治的影響力は強まり、中道右派を取り込む連立の組み換えの可能も出てくる。停戦条件はイスラエル寄りになろうが、ネタニヤフ氏がトランプ氏の呼びかけに応えて、人質解放と引き換えに停戦に動く可能性は出てくるだろう。

コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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