見解バイデン政権があと2カ月しかない時に、イスラエルも、ハマスも、そして仲介役のカタールも、バイデン政権の働きかけに応じて「真剣に」動く必要はないと考えているのだろう。ここで停戦合意しても、数カ月にわたるプロセスであり、バイデン政権中に完了するものではなく、プロセスの途中で、イスラエルからであれ、ハマスからであれ、合意違反の動きや、相手の合意違反を非難する動きがあれば、トランプ政権の下で仕切り直しをして、それまでの合意が変わったり、反故にされたりしかねない。当事者に「真剣さ」を求めるのは無理な状況と考えざるを得ない。
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コメンテータープロフィール
元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com