補足電池及びその材料は戦略的な物資として今後世界で争奪戦が起こり得るので、国内で生産基盤を持つことは経済安全保障上の視点から非常に重要である。筆者はそうした認識を持っているが、日本の自動車系電池メーカーは日本の税金で補助金をもらいながら、価格が安い中国製の生産設備を使い始めている。国内メーカーがあるのに中国製を使ってるのだ。日本企業経由で購入することでロンダリングしている。世界最大の自動車電池メーカーである中国CATLの下請けをしている設備会社の「無錫リード」はすでに日本に進出している。経済安保政策の補助金で中国メーカが恩恵を受けていることになる。これは本末転倒だ。電池本体に限らず、生産設備も含めて国内で生産基盤を作る必要がある。経産省は補助金の使途を厳格にチェックすべきだ。
コメンテータープロフィール
1964年生まれ。88年九州大卒。朝日新聞社の名古屋、東京、大阪の経済部で主に自動車と電機を担当。2004年朝日新聞社を退社。05年大阪市立大学修士課程(ベンチャー論)修了。主な著書は『トヨタ・ショック』(講談社、共編著)、『メイドインジャパン驕りの代償』(NHK出版)、『会社に頼らないで一生働き続ける技術』(プレジデント社)、『自動車会社が消える日』(文春新書)『日産vs.ゴーン 支配と暗闘の20年』(同)。最新刊に経済安全保障について世界の具体的事例や内閣国家安全保障局経済班を新設した日本政府の対応などを示した『中国の「見えない侵略」!サイバースパイが日本を破壊する』(ビジネス社)
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