補足コメの需要は2023年と比べて11万トン多い702万トン。そのうちインバウンド需要は昨年2023年から3.1万トン増の5.1万トン。したがって全体の0.7%にすぎません。インバウンドの影響は限定的です。農業経済学者の小川真如氏が語っているように需要と供給のバランスの問題と考えます。 これまでのコメ政策ではコメ余りを避けるため生産を抑制させてきました。その結果、猛暑や地震に備えた買い占めなどの要因で棚が品薄になってしまうというのが今回の事態の一因だと考えます。 なお、小川氏のご著書『日本のコメ問題 5つの転換点と迫りくる最大の危機』(中公新書)は、コメ不足となったこの機会にぜひ読んでいただきたい本です。特に第二章第三節、「食料の輸入依存を脱せない日本」の項にある「米国の食料戦略で生まれた自衛隊と学校給食」や「米国の意向を反映した"農業界の憲法"」「食料自給率は急低下」については必読です。
コメンテータープロフィール
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about