解説第3者委員会の報告書を見ましたが、不正の内容は、過去に他社が行ったような「法規に適合していないものを適合するよう試験や結果を捻じ曲げた」という悪意のあるものではなく「一発で合格しないと発売時期が遅れるから、万が一にも落ちないように細工した」「試験の手順や条件が規則通りではなかったが、やり直していると発売が遅れてしまうし、この結果なら規則通りにやっても合格できるから書類だけ書き換えた」などというもので、技術的に足りないものを誤魔化そうとしたものではない(=実際に販売された製品は法規に適合している)ようです(キャストの側突時救出性能除く)。認証部門は最終工程ですから、その前工程で遅れが発生すると、最終工程に皺寄せが来ます。僕もかつて開発職に従事していましたので、内情は良く分かりますが、何があっても不正だけはしませんでした。非常に残念な事案です。
コメンテータープロフィール
国内自動車メーカー設計部門に約5年間勤務した後、地域タブロイド新聞でジャーナリスト活動を開始。同時に自動車雑誌にも寄稿を始め、難しい技術を分かりやすく解説した記事が好評となる。環境技術には1990年代から取り組み、ディーゼルNOx法改正を審議した第151通常国会では参考人として意見陳述を行ったほか、ドイツ車メーカーの環境報告書日本語版の翻訳査読なども担当。道路行政に関しても、国会に質問主意書を提出するなど、積極的に関わっている。自動車技術会会員。
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