見解凶悪な事件によって亡くなられた方々を追悼する行為さえ認められないのです。しかし、人々からの反発を恐れている関係当局は、夜にこっそりと花を撤去しているのでしょう。メディアも、学者たちも報道と学術研究を自由に行うことができない環境に置かれているため、昨今の中国における言論統制が社会に与えている影響さえ、適切に分析することができない状況です。少しずつでもこの悪循環を断ち切る政策を打ち出さなければ、同様の事件がまた起こる可能性が高まります。
コメンテータープロフィール
1971年大阪府生まれ。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。大阪外国語大学、名古屋大学大学院を経て、香港大学教育学系Ph.D(博士)取得。在中国日本大使館専門調査員、早稲田大学准教授などを経て、2013年より現職。主な著書に『貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告』(新潮選書)、『超大国中国のゆくえ―勃興する民』(新保敦子と共著、東京大学出版会)、『香港 あなたはどこへ向かうのか』(出版舎ジグ)など。