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阿古智子

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東京大学 総合文化研究科 教授

報告

解説確認を待たなければならないが、インターネットで流れている情報によると、加害者は工場から賃金の未払いがあり、1日16時間働かなければならなかったという。さらに、学校は彼に卒業証書を発行せず、彼は卒業できなかった。「私の死で労働法を進歩させることを願っている」とも述べていたという。監視カメラの設置や情報統制は不自由度を増すが、生活の利便性を向上し、さらに犯罪を防止するとして中国社会では受け入れられてきた。しかし、コロナ禍におけるロックダウンで人々は自由が制限されることへの反発を明確に表した。閉塞感が高まる中、最も苦しい状況に置かれているのは低所得者層の人々だ。政府は政策が抱える問題と向き合わず、市民団体やNGOの活動も制限され、経済的にも精神的にも追い詰められる人々は身近な家族や友人以外には相談できない。身近な人々との関係さえ悪化すれば、極端な行動に走ってしまうしかないのではないか。

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  • 高口康太

    ジャーナリスト、翻訳家

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コメンテータープロフィール

阿古智子

東京大学 総合文化研究科 教授

1971年大阪府生まれ。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。大阪外国語大学、名古屋大学大学院を経て、香港大学教育学系Ph.D(博士)取得。在中国日本大使館専門調査員、早稲田大学准教授などを経て、2013年より現職。主な著書に『貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告』(新潮選書)、『超大国中国のゆくえ―勃興する民』(新保敦子と共著、東京大学出版会)、『香港 あなたはどこへ向かうのか』(出版舎ジグ)など。

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