韓国民主化後初の「非常戒厳」、日韓と日米韓の外交安保への影響は? #専門家のまとめ
12月3日夜、韓国のみならず、世界に激震が走った。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突如、1987年に同国が民主化してからは初めてとなる「非常戒厳令」を44年ぶりに発令した。BBCやCNNといった国際テレビ局はソウル発で即座に実況を開始した。韓国の政治動乱とも言わざるを得ない事態に、尹大統領と岸田文雄前首相との下で進んできた日韓関係の改善が後戻りしてしまわないかどうか、外交・安全保障面での悪影響が非常に懸念される。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
尹大統領が「非常戒厳」を一時宣布したことが外交・安全保障に影響を与えてきている。自民党の菅義偉副総裁が、今月中旬に予定していた訪韓を中止することを決めた。米韓両政府がワシントンで今週開催を予定していた核抑止に関する情報共有を強化する「核協議グループ(NCG)」の会合も延期される。影響は日米韓だけではなく、来日中のスウェーデンのクリステション首相も4日、「明日朝に予定していた訪韓を延期した」と明らかにした。
共同通信の報道によれば、オースティン米国防長官が来週にも日本を訪問する方向で調整している。そして、来日前後に韓国訪問も調整する可能性があると報じられたが、いったいどうなることか。
オースティン氏の日韓訪問は、アメリカ・ファースト(米国第一主義)で同盟軽視のトランプ次期大統領の来年1月の就任前に、後戻りすることのない不可逆的な日米韓の協力関係を改めて相互確認する狙いがある。そのような大事な時期に、親日派の尹大統領の政権の足元が揺らぐことは日本にとっても痛い。本来は石破茂首相と尹大統領が、トランプ氏に対し、対北朝鮮を主とする日米韓協調の戦略的重要性を説かなくてはいけない重要な局面であるのだが。