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きょう施行のフリーランス新法、事業者には罰則も 何が変わる?規制の内容は #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

きょうからフリーランス新法が施行されます。フリーランスには労働基準法などの労働法規が適用されず、発注元が小規模事業者だと下請法の適用もありません。取引上弱い立場に置かれているため、契約内容の一方的な変更や報酬の支払い遅延といった不利益を受けることもあります。そこで、こうした行為を規制し、フリーランスを保護するため、昨年4月に新法が制定されたわけです。理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

「フリーランスの方が安心して働ける環境の整備を図ることが目的」「発注事業者や業務委託期間で義務の内容が異なります」
出典:公正取引委員会 2024/06/17(月)

「企業に業務内容や報酬額を書面やメールで明示させトラブルを防止。商品納入から60日以内の報酬支払いを求める」
出典:時事通信社 2024/10/31(木)

「大幅に低い報酬額を定める『買いたたき』や、報酬額を後から減らす『報酬の減額』の禁止」

出典:読売新聞 2024/10/31(木)

「公正取引委員会は(中略)問題事例の多い業種を抽出したうえで、今年度中に集中調査を実施する」
出典:NHK 2024/10/18(金)

エキスパートの補足・見解

フリーランス新法では、フリーランスからの申し出などに基づき、公取委や厚労省などが発注元の事業者に対して調査を行うことになっています。

一方的な報酬の減額や返品、買いたたきなどの違反行為が認められた場合、助言や指導、報告徴収、立入検査、勧告、公表、命令の措置をとることができます。事業者に虚偽報告や検査拒否、命令違反があれば、最高で罰金50万円に処されます。

問題は新法の周知不足です。公取委と厚労省の調査によると、買いたたきを経験したフリーランスは全体の6割を超えています。しかし、フリーランスの76.3%、事業者の54.5%が新法の内容を知らないと回答しています。関係省庁による一層の周知活動が求められます。

契約内容や報酬支払いなどを巡って発注元事業者とトラブルになり、困っているフリーランスの方は、厚労省の委託により第二東京弁護士会が運営している「フリーランス・トラブル110番」(0120-532-110、9:30~16:30/土日祝日を除く、弁護士が対応)に電話したり、労働基準監督署の窓口を訪れたりして、気軽に相談してみるとよいでしょう。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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