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ユニクロの試着室で着替え中の女性客を盗撮か 店長の男を逮捕、なぜバレた?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:ロイター/アフロ)

 東京都豊島区にある「ユニクロアトレヴィ大塚店」で店長を務める35歳の男が警視庁に逮捕された。店内にある試着室のカーテンや扉の隙間からスマホを差し入れ、着替え中だった中学生ら女性客の下着姿を動画で撮影したとされる盗撮の容疑だ。「下着を見たいという気持ちが抑えられなかった」と供述し、容疑を認めているという。

 といっても、店内で盗撮していたところを客や店員らに見つかったわけではない。報道によると、もともとこの男はことし8月にJR山手線の電車内で女子高校生のスカート内を盗撮しようとしたとして、警視庁から任意の取調べを受けていたという。

 この捜査の際、男のスマホから電車内で盗撮したとみられる動画のほか、試着室での盗撮とみられる44本の動画が発見された。そこで警視庁は、ことし7月と8月の女性客8人に対する盗撮容疑で男を逮捕するに至った。

罪の重さは?

 男はことし6月頃から店内で盗撮を始めたと供述しているという。インナーやズボンを試着する女性客に目をつけ、他のスタッフが試着室を離れたタイミングなどを狙って試着室内の女性客を盗撮するという手口である。

 男の逮捕罪名は性的姿態撮影処罰法違反だ。条例任せで各自治体ごとに罰則の内容にバラツキがあった盗撮行為を全国一律で規制し、厳罰化するため、昨年7月に施行された。被害者の意に反して性的画像や動画を撮影、記録すると、最高で懲役3年、罰金だと300万円以下に処されることになっている。

 もし電車内での盗撮容疑で警視庁の捜査を受けていなければ、店内での盗撮も発覚せず、さらに被害者が増えていたことだろう。ユニクロを運営するファーストリテイリングは、さっそく被害者やその家族、顧客らに謝罪するコメントを出した。

 「本来は安心してお買い物を楽しんでいただくべき店舗で、お客様の信頼に背くような事態となったことを重く受け止めており、弊社としても事実関係を確認した上で、厳正に対処いたします」「防犯カメラを含めた店舗設備の見直しや従業員教育の徹底等、必要な対策を速やかに講じてまいります」と述べている。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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