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20年ぶりに新紙幣発行 同時期から詐欺・悪質商法を追い続けた経験から注意すべき詐欺 #専門家のまとめ

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

7月3日に20年ぶりに新紙幣が発行されました。このなかで注意すべきなのが、詐欺行為による被害です。詐欺は時事問題に便乗してやってきますが、まさに新紙幣発行は詐欺グループにとって、お金の話をしやすく、詐欺の話を持ちかけやすい社会状況になっています。

「古いお札は使えなくなります」という詐欺への警戒が呼びかけられていますが、すでに被害も起きています。新紙幣発行に向けて、私たちはどんな詐欺の手口に警戒すべきなのでしょうか。

ココがポイント

▼偽の郵便局員の男に70代女性がお金をだまし取られています。この事件はすでに6月に起きており詐欺の広がりが懸念されます。

「古い紙幣を保管しておくと犯罪になる」高齢女性が現金200万円だまし取られる被害 警察が注意呼びかけ(FNNプライムオンライン)

▼7月にも「古い紙幣が使えなくなる」という交換名目の詐欺電話がかかってきています。「使えなくなる」ことはありません。

「新紙幣と交換必要」新しい紙幣発行に便乗した特殊詐欺予兆電話 警察が注意呼びかけ【愛媛】(テレビ愛媛)

▼新紙幣詐欺の手口は様々。「新札の調査」を名目にやってくることもあります。お金は戻すからと預かろうとする手口もあります。

「新紙幣と交換します」にご注意 高齢者4人が1500万円詐欺被害(朝日新聞デジタル)

▼「預金が封鎖」などの嘘情報がSNSで広がっていますが、不安にさせて詐欺や悪質商法に誘導しようとすることもあり注意が必要です。

“新紙幣発行後に現紙幣使えず預金封鎖?” 偽情報拡散に注意(NHK)

エキスパートの補足・見解

20年ぶりの新紙幣発行ですが、その時期は私がライターとして悪質商法などへの潜入取材を始めた頃です。この時は、消費者を守るという意識が社会に欠けていたために、法律の不備をつくような悪質商法が横行していました。しかし現代は状況が一変しており、悪質商法だけでなく、詐欺グループによる組織的詐欺やSNSを使った詐欺も横行しており、今後、様々な新紙幣便乗の手口が出てくる恐れがあります。

20年前には偽札の駆け込み使用も多くみられました。この時は年末年始で人が集まる寺や神社で使われて、混雑につけこむ釣り銭詐欺の被害が起きました。今年は夏まつりや花火大会も多く行われますので、そうした詐欺行為にも注意が必要です。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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