Yahoo!ニュース

防御率2位の投手たち。リーグ2位が3度ありながら、最優秀防御率のタイトルを手にしていないのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
渡辺久信監督 MARCH 14, 2008(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 2リーグ制となった1950年以降、リーグ2位の防御率を記録した投手は、延べ141人を数える。71シーズン(1950~2020年)×2リーグであれば142人だが、2003年のパ・リーグは松坂大輔(現・埼玉西武ライオンズ)と斉藤和巳が1位に並び――ともに194.0イニングと自責点61で防御率2.83――2位はいなかった。

 141人の顔ぶれは、すべて違うわけではない。なかには、リーグ2位が2度以上という投手もいる。最多は3度。村山実山田久志渡辺久信山本昌ダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)の5人がそうだ。

 彼らのうち4人は、別のシーズンに最優秀防御率のタイトルを獲得している。ダルビッシュの場合、2007年から2011年まで防御率1点台を続け、5シーズンともパ・リーグのトップ2にランクインした。2007~08年が2位(1.82/1.88)、2009~10年が1位(1.73/1.78)、2011年が2位(1.44)だ。2012年からは、メジャーリーグで投げている。

 だが、西武ライオンズ時代にパ・リーグ2位が3度の渡辺は、日本プロ野球では、このタイトルを手にすることができなかった。防御率3.20で2位の1985年はチームメイトの工藤公康(2.76)に差をつけられたが、1986年(2.87)と1990年(2.97)は僅差。1986年のパ・リーグ1位は阪急ブレーブスの佐藤義則(2.83)、1990年は近鉄バファローズの野茂英雄(2.91)。どちらも、渡辺との差は0.06未満だった。1986年の渡辺は最多勝(16)と最多奪三振(178)の両タイトルを獲得し、1990年は最多勝(18)を野茂と分け合った。

 また、リーグ2位が2度の19人中、堀内庄神部年男川端順郭泰源の4人は、最優秀防御率、最多勝、最多奪三振のいずれも獲得していない。ただ、4人とも、活躍したのはこの2シーズンだけではなかった。なかでも、渡辺とともに西武で投げた郭は、リーグ2位の1988年(2.41)と1995年(2.54)の間に、リーグ3位も3度。1989年(3.27)、1991年(2.59)、1992年(2.41)のうち、1991年はMVPに選ばれた。

筆者作成
筆者作成

郭泰源 DECEMBER 1, 2007
郭泰源 DECEMBER 1, 2007写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 なお、2020年の防御率2位は、セ・リーグが広島東洋カープの森下暢仁(1.91)、パ・リーグはオリックス・バファローズの山本由伸(2.20)だった。新人王を受賞した森下は、まだ1シーズンしか投げていない。山本は2019年に防御率1.95を記録し、最優秀防御率のタイトルを獲得している。2020年は149三振を奪い、千賀滉大(福岡ソフトバンクホークス)と最多奪三振のタイトルを分け合った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事