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「200年に1人の逸材」と呼ばれた男が語る、大晦日の内山高志

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
悪夢の敗戦から8ヶ月。内山はリベンジを果たせるか(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

「ジェスレル・コラレスvs内山高志II」まで1週間を切った。

このコラムで何度もご登場頂いている、元WBA世界ジュニアウエルター級1位(日本同級&ウエルター級王者)の亀田昭雄に、12月31日を占ってもらった。

亀田は現役時代に所属した協栄ジムの会長(当時)、金平正紀をして「具志堅用高を超える天才。200人に一人の逸材」と絶賛された男である。

「37歳という内山の年齢よりも、僕が気になるのは試合の入り方ですね。11人もの挑戦者を退けた内山は、どうしたって相手を迎え撃つ、チャンピオンの戦い方が身に付いてしまっている。内山はクリンチをしない。見栄えの悪いことはしませんよね。あれだけ長く王座に就いていれば、それも当然です。後輩たちにも背中を見せて来たし、ボクサーとしての美学を持っていますから…。

でも、今回それではダメなんです。綺麗なボクシングは挑戦者に必要ない。空振りしてでも良いから、手を出し続けて前進する。10発のパンチを放って、1発か2発当たればいい。当たればコラレスの動きは止まります。そこに、内山のハードパンチをヒットさせれば勝てますよ。コラレスは、ガチャガチャ来るでしょうけれど、内山はあまり見過ぎずに、自分のペースで手を出していくことが鍵になるでしょう。

昔、協栄ジムの後輩に、喜友名朝博というフライ級の選手がいました。喜友名は、後に世界チャンピオンになるレパード玉熊と試合をしたんです。玉熊は背が高く、リーチも長い技巧派でした。正直、喜友名よりも実力は上だったんじゃないかな。喜友名は玉熊の懐に入り込まないとパンチが当たらない。だから僕は、『シャドウボクシングをするように、バンバン手を出していけ! あまり考えずにひたすら手を出せ!』とアドバイスしたんです。喜友名はその通りに試合を運び、KO勝ちしました。嬉しかったですね。

見てくれが悪かろうが、カッコいいボクシングができなかろうが、内山がいかに泥臭く戦えるかにかかっていると僕は思います。空振りしても、手を止めないスタイル。それを貫けば勝てると見ますね

大晦日、内山はどんな戦いを見せるかーー。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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