こんな杖見たことある?【理学療法士がロフストランド杖をご紹介します】
田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。
みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。
ロフストランド杖ってどんな杖
こんな杖、街中で見かけたことはありますか?
1本脚で、体重を支える握りの部分(グリップ)、前腕を支える腕支えの部分(カフ)がついています。
ロフストランド杖の特徴
カフがついているというのが大きな特徴です。
カフというのは腕を通す輪っかの部分です。
T字杖や松葉杖は左右のどちらの手でも使うことができましたが、ロフストランド杖は左右が決まっているので、片手だけで使用する場合には購入の際に注意が必要です。
カフの種類
O型(クローズカフ)
カフが輪になっているので腕から外れることなく使用することができます。
後で述べますが、利点でもあり欠点でもあるため、体の状態と相談しながらカフを選ぶことが必要です。
U型(オープンカフ)
O型に比べると安定感に欠けますが、腕にはめやすく、外しやすい形状です。
ロフストランド杖を使うメリット・デメリット
メリット
カフがあることで、握力だけでは体重を支えきれない方でも、前腕(肘から手まで)を使って体重を支えることができます。
ドアを開ける、手すりにつかまるなど、手を使いたい場面では、カフに腕を通しておきながら手を使うことができるため、生活動作が行いやすいのが特徴です。
デメリット
腕をカフに通しているので、杖を外すのが大変。
杖が外れにくくなっているため、転倒した場合には腕の骨折や肩の脱臼などのリスクもある。
どんな方におすすめ
疾患別では
- 脳血管疾患後遺症による半身麻痺の方
- 下肢の人工関節置換術後の方
- 脳性麻痺や下肢の不全麻痺がある方
機能別では
- 上腕三頭筋の筋力低下がある方(二の腕の力が弱く腕を伸ばして体重を支えづらい状態)
- 肘関節の屈曲拘縮・伸展制限がある方(肘がしっかり伸びない状態)
使い方
健側(ケガなどをしていない方)の手で使用し、患側(ケガなどをしている方)へかかる負担を減らすのが目的です。
杖のつき方はT字杖と同様です。
高さの合わせ方
カフの高さ
足先より15cmほど外側に杖先を置いて、肘を軽く曲げた状態でカフに腕を入れます。
肘を曲げても邪魔にならない位置にカフが来るようにしましょう。
グリップの高さ
T字杖と同様で、足の付け根の高さとし、体重をかけやすい高さにしましょう。
まとめ
街ではあまり見かけない杖ですが、グリップとカフという2点支持でとても安定性のある杖です。
松葉杖やT字杖が扱いづらかったという方は、握力や腕の力が弱くなっている場合があります。
理学療法士など、専門職とも相談しながら、ロフストランド杖を試してみるのもひとつの手かもしれません。