【なぜ仮面ライダーは宇宙を超えたのか?】宇宙キターッ!仮面ライダーフォーゼの熱き友情物語とは?
みなさま、こんにちは!
文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。
ムシムシ汗ばむ日々が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしですか?
さて、今回のテーマは「宇宙」です。
宇宙とは皆さまのご存知の通り、たくさんの星々を内包する大空間であり、私達が暮らす「地球(earth)」も、その宇宙の中にある星々のひとつとして数えられます。
私達が暮らしている「地球」ですが、宇宙が138億年前のビックバンと呼ばれる大爆発で誕生したのに対し、地球の誕生は46億年前。地球人類はおよそ500万年前に現れたと言われています。つまり、長い長い宇宙の歴史から見れば、私達人類の歴史はほんの幼年期に差し掛かったに過ぎません。
そんな幼い人類に対し、無限に拡がる宇宙はたくさんの恩恵をもたらしました。その1つが宇宙に対する「好奇心」です。夜空に輝く星々を見上げながら、星々を繋げることで形成される星座の創造や、瞬く星々に人々(宇宙人)は住んでいるのか?等々・・・古来より人々は宇宙に対して想像を膨らませ、それは科学や芸術といった学問の世界にも反映された他、航空宇宙技術の向上にも大きく寄与することになりました。
そんな宇宙に対する大いなる夢と好奇心は、私達が子どもの頃から親しんできた、日本が世界に誇る特撮ヒーロー番組の世界でも描かれてきました。
そんな数ある「宇宙」の特撮ヒーローの中で、今回焦点を当てるのは東映制作の特撮ヒーロー番組『仮面ライダーフォーゼ(2011)』。
国民的特撮ヒーロー番組である『仮面ライダー』シリーズの1作品であり、『仮面ライダークウガ(2000)』を起点とする平成仮面ライダーシリーズの第13作でした。
本作はなんと、仮面ライダーシリーズ初の「学園青春ドラマ」。仮面ライダーに変身するのは高校生であり、彼を支援する「仮面ライダー部」の仲間達との熱き友情物語でした。
そんな魅力いっぱいの『仮面ライダーフォーゼ(2011)』とはどんな物語なのか?本記事では焦点を当てていきたいと思います。
※本記事は「私、アニメや特撮にくわしくないわ」という方にもご覧頂けますよう、可能な限り概要的にお話をしておりますので、ゆっくり肩の力を抜いて、気軽にお楽しみ頂けたらと思います。
【少しおさらい!】新時代への進化!昭和から平成仮面ライダーシリーズまでの変遷とは?
さて、ここからは『仮面ライダーフォーゼ(2011)』のお話に入る前に入りますが・・・少しだけ、仮面ライダーシリーズについてご紹介をさせてください。
仮面ライダーは、漫画家・石ノ森章太郎先生の原作で生み出された特撮ヒーロー。1971年にシリーズ第1作『仮面ライダー(1971)』の放送が開始され、主人公が悪の秘密結社ショッカーによって改造手術を施されて、バッタの能力を持った大自然の使者・仮面ライダーとなり、人間の自由と世界の平和を守るため、愛車であるバイク(サイクロン号)に乗り、毎週ショッカーが送り込む恐ろしい怪人達と戦う物語が展開されました。
その結果、『仮面ライダー(1971)』は国内で社会現象的な大ヒットを巻き起こすことになりました。その後、次回作『仮面ライダーV3(1973)』や『仮面ライダーBLACK RX(1988)』等の派生作品が次々に放送され、昭和の仮面ライダーシリーズとして定着していくことになります。
時代が昭和から「平成」に変わると、平成仮面ライダーシリーズの放送が開始されました。その第1作となったのが『仮面ライダークウガ(2000)』。平成という時代に適合した新たな仮面ライダーを創造しようとした本作は大好評を博し、『仮面ライダーアギト(2001)』や『仮面ライダー龍騎(2002)』といった後続の作品が毎年製作されるようになります。
その結果、元号が平成から令和に変わるまで放送された全20作の仮面ライダーシリーズは、「平成仮面ライダーシリーズ」として定着することになりました。
そんな全20作の「平成仮面ライダーシリーズ」の中で、唯一「宇宙」をモチーフとしたのが、本シリーズ第13作『仮面ライダーフォーゼ(2011)』でした。
アストロノーツを彷彿とさせる奇抜な容姿が特徴的な仮面ライダーフォーゼですが、彼のモチーフは「宇宙」。そして宇宙の仮面ライダーが活躍する物語として描かれたのは、なんと「学園青春ドラマ」でした。
破天荒だけれども「友情」を重視する熱血な転校生・如月弦太朗と「仮面ライダー部」の仲間達の友情が描かれる『仮面ライダーフォーゼ(2011)』の物語。いったいどんな物語なのか?次章より少しずつ紐解いていきます。
【宇宙キターーーーーー!!】学校の全員と友達になる男!如月弦太朗と仮面ライダー部の熱き友情物語とは?
さて、ここからはいよいよ『仮面ライダーフォーゼ(2011)』の物語を少しだけお話をしていきたいと思います。
本作は、学術都市である天ノ川学園都市にある私立高校「天ノ川学園高校(通称:天高)」を舞台に、2年B組に転校してきた転校生・如月弦太朗(演:福士蒼汰)が仮面ライダーフォーゼに変身して、学園の平和を脅かす怪人達(ゾディアーツ)から学園の平和を守る物語。
特徴的なリーゼントヘアや、ヤンキー風の服装といった、やや古風な装いの如月弦太朗の活躍をサポートするのが、怪人達と戦う秘密のクラブ活動「仮面ライダー部」の面々。弦太朗と7人の高校生で構成され、顧問は大杉先生(演:田中卓志【アンガールズ】)。もともと当部活は弦太朗が勝手に立ち上げたもので、部員達も当初は弦太朗と反目したり、それぞれ心に葛藤を抱えていたものの、弦太朗に心を開いていき、仮面ライダー部の一員として次々に入部していきます。
その面々も天才肌の「保健室の主」や、学園のクイーンやアメフト部のキング、宇宙飛行士志望の宇宙マニア女子、ゴス風のオカルト女子、チャラ男の情報通に、ワケありの交換編入生と様々。
しかし弦太朗はその大らかな性格で彼らを「友達(ダチ)」として「仮面ライダー部」に引き寄せ、幾多の戦いを通じながら強固な友情を築き上げていきました。
ここで気になるのが・・・この疑問。
「なぜ弦太朗がそこまで、友達(ダチ)にこだわるのか?」という点。
持ち前のおせっかいかつお人好しな性格で、天高全員と友達になる男を自称、さらには自らを「全ての仮面ライダーと友達になる男」とさえ高らかに謳う彼。
彼がそこまで友情を重んじる背景には、他界した彼の両親の存在がありました。
両親は弦太朗が小学3年生の時に交通事故で他界しており、それぞれ弁護士と税理士といった専門職に就かれていたとのこと。
非常に優秀な弦太朗のご両親。彼らは愛息である弦太朗が友達をつくると凄く喜んでいたといいます。
「友達作れよ弦太朗!友達がお前を救ってくれる!」(弦太朗の父)
心が通じ合った時、相手は心から笑顔になるー。
その笑顔が見たくて、弦太朗は友達をつくっていたのです。
両親の他界後、弦太朗は祖父と二人で暮らしていました。
両親との想い出を胸に生きてきた弦太朗にとって、仮面ライダー部は自慢の仲間達なのです。
数多くの戦いや葛藤を乗り越えながらも、どんどん結束力を高めていき、強くなっていった仮面ライダーフォーゼ(弦太朗)と仲間達。
しかしそんな「仮面ライダー部」にも、最後の戦いがやってきました。
仮面ライダーフォーゼと仲間達が戦ってきた怪人達(ゾディアーツ)の元凶であり、学園を脅かしてきた数々の事件の黒幕ー。
それはなんと、天ノ川学園高校を創設した我望理事長(演:鶴見辰吾)でした。
彼は少年時代に宇宙からの声を聞いた経験を機に、声の主(プレゼンター)に会うという自分の夢のために、選ばれた人間を強制的に怪人(ゾディアーツ)に進化させようと目論んでいたのです。
哀しくも仮面ライダー部は、母校の理事長との戦いを余儀なくされてしまいます。
たとえ学園を脅かす数々の悪行を引き起こしてきた人物であっても、自分達が「仮面ライダー部」として出会い、かけがえのない絆を結ぶきっかけをつくってくれたのも理事長。
「仮面ライダー部」はそんな理事長を相手に、体育館で「卒業式」を開催します。
それは「天ノ川学園高校を理事長の支配から解放する」という目的のもとで、部員一同が準備した理事長に対する感謝の卒業式でした。
怪人(サジタリウス・ゾディアーツ)に変身した我望理事長ですが、仮面ライダーフォーゼ(弦太朗)は理事長に強力な蹴り技(ライダーロケットドリルキック)を決めます。
「卒業キック、授与!」(城島ユウキ、仮面ライダー部)
卒業生代表・仮面ライダーフォーゼ(弦太朗)に、人間の姿に戻った我望理事長は「宇宙の声の主(プレゼンター)に会う」という自分の夢を託します。
弦太朗は我望理事長に「友達のシルシ」を交わし、理事長とも「ダチ」になりました。
体に限界を迎えていた我望理事長は静かに消滅し、新たな学園生活を満喫する仮面ライダー部の面々。
新部員を迎え、さらに拡がっていく仮面ライダー部の次なる目標、それはー。
「宇宙人ともダチになる」でしたー。
ここまで上述してきた『仮面ライダーフォーゼ(2011)』の物語は、全48話にわたり約1年間の放送を終了します。黒幕である学園理事長(我望)とも「友達(ダチ)」となった弦太朗と仮面ライダー部の仲間達は、新たな世代へと仮面ライダー部を託し、それぞれの道へと進んでいきました。
『仮面ライダーフォーゼ(2011)』の物語から5年後、高校を卒業して大学へと進学した弦太朗はその後、なんと天ノ川学園高校の教師となっていました。・・・とはいえ弦太朗は弦太朗のまま。
特徴的なリーゼントヘアや、ヤンキー風の服装(グレーのスーツ姿)は変わらず、仮面ライダー部の顧問となった彼は、後輩である生徒達に熱く接していきます。
しかし、そんな弦太朗のクラスの生徒達の中にいたのは・・・なんと「怪人同盟」を名乗る超能力者達でした。
人類(旧人類)を排除して「世界の変革」を目的とする彼らですが、弦太朗はそんな彼らとも熱く向き合います。たとえ怪人であっても、超能力者であっても、人と違っていても、彼らは弦太朗にとって大切な生徒なのですから。
『仮面ライダーフォーゼ(2011)』が放送されたのは、2011年から2012年までの約1年間。我が国では東日本大震災が発生し、計り知れない悲しみが日本を包み込む中、それでも人々が懸命に立ち上がろうとしていた時代でした。
そんな困難な時代に活躍した仮面ライダーフォーゼは、前を向こうと生き続ける人々の心を明るく照らし続け、その熱き魂は後輩の仮面ライダー達へと受け継がれていきました。
『仮面ライダーフォーゼ(2011)』の物語と出会った皆さまは、きっと弦太朗にとってかえがえのない「友達(ダチ)」になれたのだと思います。
今日もきっと、弦太朗(仮面ライダーフォーゼ)は天ノ川学園高校で生徒達と熱く触れあい、ダチとなったみんなの心に寄り添い続けているのかもしれませんー。
最後までご覧頂きまして、誠にありがとうございました。
(参考文献)
・菅家洋也、『講談社シリーズMOOK 仮面ライダー Official Mook 仮面ライダー平成 vol.13 仮面ライダーフォーゼ』、講談社
(アクセス)
・国立航空宇宙博物館(NATIONAL AIR AND SPACE MUSEUM)
住所:Independence Ave At 6th St SW, Washington, USA
公式サイト:https://airandspace.si.edu/(外部リンク)
・イエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)
公式サイト:https://www.nps.gov/yell/index.htm(外部リンク)