北米に数十年来の寒波到来 体感温度マイナス50℃も
「温暖化はでっち上げだ」と言い、常々懐疑的な姿勢を見せているトランプ大統領ですが、今週は下記の投稿を自身のツイッターにあげています。
訳:美しきアメリカ中西部では、体感温度がマイナス50℃とかつて経験したことのないような寒さとなっている。その後もさらに気温は下がるそうだ。人々は少しの間も外には出てはいられない。一体温暖化はどうなっているんだ!早く戻ってきてくれ、我々は温暖化が必要だ!
これに対し、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、温まった海水温が厳しい冬の天候をもたらしているのだと、マンガを用いて大統領に応戦しています。
寒さで非常事態宣言、犯罪も
このようにツイッター上では熱い火花が散っていますが、現在アメリカやカナダは数十年来といわれる大寒波に見舞われています。
非常事態宣言も発令され、企業、学校、政府機関が閉鎖、また多くの航空便もキャンセルとなっているようです。さらに人気高級ブランド「カナダグース(Canada Goose)」のコートを身につけている人々が相次いでコートを盗まれるなど、寒さによる犯罪も起きています。
数十年来の寒さ
実際、どれほど寒いのでしょうか。
平年の気温を10℃から20℃ちかく下回るような寒さとなっています。例えば26日(土)にはウィスコンシン州マディソンで-30℃まで下がり、23年ぶりに低い気温を観測、27日(日)にはミネソタ州インターナショナルフォールズで-43℃まで下がって史上5番目に低い気温を記録しました。
寒さの原因と今後
この寒さの原因は「極渦 (Polar vortex)」に伴う寒気です。
北極上空の寒気を伴う気流の渦が、カナダやアメリカ北東部に南下しているために大寒波が襲っているのです。この寒気は31日(木)頃にかけて居座る見込みで、あと数日間は極寒の状態が続く見込みです。
体感温度・ウィンドチル
低温に加え強風が吹いているために、体感温度が-50℃以下に達しているところがあります。
アメリカでは冬の間、気温と風速から計算した「ウィンドチル(windchill)」という体感温度の指標が用いられることがあります。
この指標によると、例えば30日(水)日中にはノースダコタ州ファーゴで-50℃、シカゴで-45℃となる見込みです。これは数分間で凍傷が起こるほどの寒さです。シカゴの体感温度の最低記録は、1983年クリスマスイブに観測された-50℃(※)ですから、この記録に近づくほどの寒さとなるおそれが出ています。
※2001年にウィンドチルの計算式が改定され、その式で再計算した値。実際の気温は-30℃、風速13m/s。