ういろうもえびせんべいもチョコレートに! 名古屋銘菓がバレンタイン仕様に変身
人気の定番商品にチョコテイストをプラス
バレンタイン商戦真っただ中。女性から思いを寄せる男性へチョコレートのプレゼント、という従来の“日本流バレンタインデー・ルール”は近年とみに薄れてきて、逆におすそ分けや自分へのごほうびなど、解釈や意味合いがゆる~く拡大。そんな流れもあってか、チョコレート以外の食品分野でもこれに乗っかろうとする動きが活発になっています。
今シーズンは、名古屋の老舗和菓子ブランドが相次いで参戦&新作を投入。ユニークかつ魅力的なバレンタイン限定商品が発売されています。
「あんことチョコは実は相性がいいんです」というのは名古屋きっての老舗和菓子店・両口屋是清の広報、近藤美香さん。「それでもかつては和菓子屋がチョコなんて…という空気が社内にもあったのですが、今はいろんなコラボが受け入れられる時代。平成生まれのヒット商品である『ささらがた』では2017年にバレンタイン用の『ちょこれーと』を、今年は新作の『抹茶ちょこ』も発売しました」
青柳総本家は4年前に冬限定の「チョコレイトういろう」を開発。今年は大人気のケロトッツォもチョコあんベースの新フレーバーを発売します。
「チョコレイトういろうもカエルまんじゅうチョコあんも冬限定の人気商品です。ケロトッツォもこのカエルまんじゅうチョコあんをベースに、チョコに合うクリームを新たに開発しました。甘すぎない大人のスイーツに仕上がっています」と開発担当の山口碧さん。
「10年以上開発に取り組み、ようやくバランスがよく、当社にしかできない味に仕上がりました」というのは高級えびせんべい「ゆかり」で知られる坂角総本舖。2020年に売り出した「ゆかりZAKUZAKUしょこら」は、「クセになる!」「ウイスキーにも合うからお酒好きにもいいね」とリピーターになる人も多いといいます。
大須ういろはあえてチョコを使わないバレンタイン向けういろを開発。「ういろらしいもっちり感を重視し、チョコにはこだわらないことにしました。バレンタイン商品は見た目のキャッチーさが不可欠で、ハートをひとつひとつランダムに並べるのに非常に手間がかかっています。おかげさまでオンラインショップではソールドアウト間近とご好評いただいています」(取締役本部長の池戸善仁さん)
バレンタイン和菓子を実食&こんな人に贈りたい!
各社が自信をもって売り出すバレンタイン和菓子。それぞれ実食してみました。(「チョコ度」「こんな人に」の採点・評価はあくまで筆者の主観なので、参考意見としてお楽しみください)
■「チョコレイトういろう」(青柳総本家)
普通のういろうよりもねっとり感が強くやわらかな食感にもチョコレートらしさを感じます。チョコはしっかりビターで、でも米粉の風味が利いて後味さっぱり。中に入った抹茶あんもアクセントに。
【チョコ度】★★★
【こんな人に】チョコも和菓子も、ついでにレトロなデザインも好きな女性に
■ケロトッツォ キャラメルナッツ&チョコ (青柳総本家)
チョコあんとなめらかなキャラメルクリームがそれぞれコクがあって相性抜群。アーモンドも香ばしく、かわいい見た目からは意外な大人の味わい。
【チョコ度】★
【こんな人に】ワインやウイスキーにちょっと甘いモノを合わせたい、というお酒好きの自分用に。スイーツ&かわいいもの大好きな若い女性にも
■バレンタインささらがた「ちょこれーと」「抹茶ちょこ」(両口屋是清)
「ちょこれーと」はチョコ風味の羊かん+錦玉かん(きんぎょくかん)の組み合わせで、オレンジピールで後味爽やか。「抹茶ちょこ」はカカオの香りと抹茶のほろ苦さで上品なおいしさ。
【チョコ度】ちょこれーと★★ 抹茶ちょこ★★★
【こんな人に】和菓子ツウのミドル~シニア世代に。職場の休み時間を充実させたい自分用に
■ゆかりZAKUZAKUしょこら (坂角総本舖)
ざくざくした食感のクランチチョコ+えびせんべいの奇跡の合体。最初はチョコの香りと甘みが口の中に広がりますが、後からゆかりならではの濃厚なエビの香りが追いかけてきて存在感を発揮。最後にはひとつにまとまります。
【チョコ度】★★★
【こんな人に】職場でのおやつ選びにこだわる人に。お酒のつまみにチョコレート、という左党にも
■くつろぎ焼きショコラ くつろぎ焼きショコラ-苺- (桂新堂)
まずエビの香りが先行し、後からほろ苦いチョコの香りが。真逆の味が不思議な一体感をもたらします。-苺-は苺の甘やかな香りの後に甘酸っぱさが広がり、チョコの香りが後から包み込みます。
【チョコ度】★★
【こんな人に】チョコ好きの女性。逆にあまりチョコレートを食べないという父親や祖父にもお茶うけとして
■バレンタインういろ(きなこ・珈琲) (大須ういろ)
あえてチョコを使わず、和風のきな粉、洋風のコーヒーの2色を組み合わせた異色のバレンタイン和菓子。きな粉は後から香ばしさが広がり、コーヒーはほろ苦さが広がり口当たりはより滑らか。食感がそれぞれ異なるのも面白い。
【チョコ度】―
【こんな人に】チョコはたくさんもらえる、というモテモテの人。お世話になっている目上の人
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近年のバレンタインは、自分用にも、プレゼント用にも、数千~万円単位で様々なチョコレートを吟味して購入している人が増えています。それだけチョコを食べたりもらったりする機会も増えているはず。いくらもらっても困るものではありませんが、せっかくなら他のたくさんのプレゼントに埋もれない品を贈りたいもの。意外性があって印象に残る。そんなチョコ風味の和菓子、バレンタイン仕様の和菓子をチョイスしてみるのもいいんじゃないでしょうか。
(写真撮影/すべて筆者)