韓国 2年半ぶりに行ったらこうだった【出国編】 まだまだ「お気軽じゃない」部分について
やってきました韓国。9月11日のことだ。現地に滞在してあれこれと見て回っている。気候もかなり涼しく、ハイシーズンを満喫している。
個人的には2年6ヶ月6日ぶりだ。最後に韓国を去った日をはっきりと記憶している。2020年3月5日。忘れもしない。ソウル滞在中にスマホで「日本政府、中韓からの帰国者を帰国時に隔離」のニュースを目にした。
「こりゃ国境封鎖だ」「隔離絶対回避」
と、慌ててその場でその日じゅうの航空券チケットを購入したものだ。逃げ帰るようなものだった。
それ以来、日数にして920日、週数にして131週+3日、 月数にして30ヶ月+6日、年数にして2年+190 ぶりの訪問だ。
今回、何を記したいのかというと「K-ETA」「Q-CODE」といった、「渡韓に必要な資料の揃え方」のガイドではない。
「行間」
必要資料の準備以外でいったい何を感じるのか。体感レポートだ。今回2年半ぶりに現地に行って、かなり「忘れていた点」があり、さらに「新しい点」に惑わされたのだ。「LCCあまり復活せず」「成田空港までのバスの本数がめちゃくちゃ減っている」「成田空港のガラガラぶりにちょっとドン引き」エトセトラ。要は「行けるけど、けっして以前のように"お気軽"ではない」。
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韓国といえば何と言っても「気軽に行ける国」だった。2020年3月までは「LCC天国」。本数がふんだんにあり、アメリカで志向されてきたように「高速バス並」の気軽な予約が可能かな、と思わせる瞬間すらあった。2015年4月8日には成田空港に専用の「第3ターミナル」まで誕生した。
しかし、まだまだ「以前のようにはいかない」。躓きまくりだった。筆者自身、それまでに100回以上は訪れただろう場所だが、「全然ダメ」だった。もうびっくりするくらいに。旅慣れてるフリして、度々とんでもないポカを犯す筆者による必死
ぶっこいたレポートだ。
「行くなら今」だった。ノービザ、ノー陰性証明の始まり
今回筆者が経験した「9月11日の韓国入り」、結果的には「ノービザ」「ノー陰性証明」「ノー韓国の旧盆」としては、一番といっていいほど早いタイミングでのものだった。
ノービザは8月から始まっていたものの、まだまだリスクはあった。韓国出国前に検査を受け、陽性だと「日本に戻れない=韓国に留まらなければならない」。韓国ならずとも、海外滞在時のこの難しさは連日日本のワイドショーでも報じられていた。
ビザに続き、この点も9月7日には免除になった。日本政府が帰国時の陰性証明の提出を免除したのだ。これに先立ち、3日からは韓国入国時の「ノー陰性証明」も始まった。ただし、入国後24時間でのPCR検査義務は残っているのだが。
とはいえ、7日に近い時期に意気込んで韓国に行っても仕方がなかった。なにせ韓国は9月9日から12日まで「秋夕(チュソク=旧盆)」。国内はガランとしているうえに(西欧の日曜日ほどでもないが)、国内の帰省=民族大移動に巻き込まれかねない。というわけで「11日」に定めた。秋夕が終わる頃に行っておいて、13日にこれが明けるのを待つことにした。
最初に整理だけしておきます
【2022年9月 渡韓時のコロナ対策での必須事項】
・K-ETA登録(およそ1万ウォン=約1000円超。出発72時間前の登録がマスト。登録ミスなどがありうるから、筆者は念のため1週間前くらいにやっておいた)
・韓国入国後の24時間内のPCR検査(空港だと8万ウォン=約8000円超)
【やっておいたほうがいいこと】
・Q-CODE登録
・日本出国前の念のためのPCR検査(入国後陽性だと1週間の隔離。筆者は日本で検査し陽性なら日程をすべてキャンセルするつもりでいた)
・仁川空港でのPCR検査の予約(やっておいたほうが現地でスムーズに出来る。8万ウォン/約8000円超の出費は痛い。しかし市内で安いところを探しても6万5000ウォン/6500円超。1500円の差なら空港でやったほうが手っ取り早い)
※韓国関連の申請は全般的に「英語・韓国語のみ」です。ちょっと時間がかかるでしょう。
LCCは「まだ戻りきらず」
2022年9月のいま、「韓国に行く」際にはまず何をすべきか。
それは「K-ETA」への登録だ。これは「24時間以内に登録の返答がある」というのは、サイトに書いてある通りだった。9月18日現在、韓国語と英語のみで登録可能。決してサラッとはやれない。韓国での滞在先の住所記入など、煩雑な部分もある。ちなみに筆者は「登録時にメールアドレスを打ちそこねる」というアホなミスを犯したが、問題はなかった。後述するが、日本の空港でプリントアウトやキャプチャ画面を見せれば問題ない。
次に「航空券を調べること」。もちろん、LCCを調べる。これは「あまり3年前の様子が復活していない」。
結果的に9月11日午後にポコっと「11000円」というチケットを発見し、購入した。韓国の旧盆が1日半残っていたこの日、この時期、あまり行く人がいなかったか。
かつては1万円を切るチケットもあった。九州の空港からは4000円という驚くべき金額のものもあった。「どうせ西に行くんなら、関西や九州で国内取材した後に韓国に行く」といった日程もよく組んだ。でなくとも東京から「なんとなく安いチケットがあるから、とりあえず買っとこうか。現地に行けば、何かあるだろうし」という時期すらあった。
しかしもはやそんなチケットは存在しない。
便数が減ったから? そういった事情もあるだろう。しかしこちらの事情の方が目に見えてデカい。
「燃油サーチャージ」
ロシアによるウクライナ侵攻。円安。筆者がたまたま見つけたチケットは運賃が「3000円」だったが、燃油サーチャージは2倍以上、そこに空港使用料などがかかり、11000円台となっていた。かつてのように「思い立ってさっと行く」ということは難しく、早くから安いチケットを探しておくほうが無難だ。
ちなみに帰りのチケットはLCCながらに「3万円」かかった。かつては現地で急な予定変更があっても「まあチケット変更すりゃいいか」と思っていたが、そうもいかない。またソウルからの「朝7時発」といった、弾丸ツアー向けの帰国便も今はなくなっている。現地では「10月から日本旅行の帰省全面撤廃」という話題を耳にしたから、少しずつ事情は変わっていくか。
出発前日までにはもうひとつ、「念のためのPCR検査」も済ませた。ここで陽性ならいっそのこと全日程キャンセル。そういった覚悟で。現地に行って陽性なら、隔離期間が必要なのだ。ノービザ・ノー陰性証明にはなった。しかし気軽に行く、というにはまだ早い。そういった実感だ。
「空港リムジン便数減」は要注意!
その後、現地に行くまでのプレッシャーがすごかった。「何か資料を揃えそこねて泣く泣く成田空港で断念」という心配があったのだ。
そして迎えた当日。かなり面食らうことがあった。
「早めに、テキトーに水天宮前のT-CATに行って、その時来た成田空港行きのバスに乗る」
これがまったく通じなくなっている。鉄道で行くのもいいんだけど、空港での時間締め切りの他にもうひとつ「電車の締め切り」があるってお気軽さが減りません?
かつては「ほぼ10分おきに運行されていた」(バスターミナルスタッフ)、成田空港行きのバスの便数が激減。「ほぼ1時間に一本」になっている。
筆者は9月11日、13時55分成田空港発の航空便を予約していた。まあ「案内通り」とすると空港には11時55分につけばいい。成田まではだいたい1時間だから…余裕をもって10時10分頃に水天宮シティエアターミナルに着いたが「アウト」だった。
なんと次のバスは「11時20分」。
1時間10分待ち。まあ、待っていたって12時半位に着いていれば問題はない(はずだ)。
とはいえ、だ。困ったのが、「空港での様子がまったく分からないこと」。コロナ前とまったく同じなのか、違うのか。チェックインは混むのか? 出国審査は? はたまたゲートまでの距離は?(成田第3ターミナルの感覚がないままコロナ時代に突入)。そこが判断不可能。
気を揉みながら1時間10分は待てない。人形町駅まで歩き、日比谷線で上野に。そこからスカイライナーに乗ることに。旅程、初っ端から徒労感ハンパなし。
意外と辛かった「成田空港の風景」
成田空港に着いても面食らうことが多かった。
なにせ「ガラガラ」なのだ。2年半前にはかなり賑わっていた第3ターミナルを見るに。「まだ戻りきってないな」と感じさせる。
ガラガラのターミナルだが、カウンター前の行列だけは「密」。チェックインには以前よりかなり時間がかかった。
ここで初めて「K-ETA」の資料が確認されるのだ。航空会社のスタッフがプリントアウト(スマホのキャプチャ画面でも可)したデータのうち、パスポート番号・名前・生年月日などを一つ一つ確認する。航空会社側とすれば「韓国に到着したのに入国できないことを避ける」考えがあるのだという。
この点はパスしたが、筆者はここでひとつ別のミスを犯した。なんのことはない「荷物の重量オーバー」。完全な旅感覚の欠落。以前ならオンラインでチケット購入時に荷物の重量も考えて購入していたのだが…この日は11000円のチケット代に対し、6720円のオーバーチャージを取られた。スタッフ曰く「オンライン購入時に購入しておけばかなり安かったはず」。やってもうた、というところ。
チェックインを終えたところで初めて、もうひとつの韓国入国前の必須手続きである「Q-CODE(コロナ防疫関連の登録)」への登録を行った。英語もしくは韓国語。これはホントにすぐに登録可能で、直前でも大丈夫だった。後に分かるのだが、韓国入国後でも大丈夫…しかし、出国前にオンラインで済ませていたほうがラクに見えた。
ガラガラすぎて複数あるのに1ゲートしか使っていない荷物検査を終え、これまたガラガラの入国審査を終えると…まるでシャッター商店街のような免税店の前を通り…ガラガラの通路を通り抜け搭乗口へ。
まだまだ「元には戻っていない」。必須資料の「K-ETA」は事前に。「Q-CODE」は直前でも大丈夫。ただし全般的に「日本語案内」が無くなっているような…この点は要注意。さらに「LCCの値段」「都内からのリムジンバスの本数激減」には特に要注意を。
また「ガラガラの成田空港」は、ちょっと物悲しくもなる。筆者は常に一人旅ゆえ「かなりドン引き」みたいになった。申請モノの煩雑さや事情の変化は苦しかったが、この点のダメージが意外と大きかった。じつは一番必要なのは…旅の友か。ご友人とぜひ、ハプニングを笑い飛ばすつもりで行かれることをおすすめします。まあ韓国、着いてしまえば今はとても気候がよいハイシーズン。楽しい時が待っているでしょう。
<続編たる韓国入国後の出来事は、後日に「現地紙ライフ部記者との対談」を通じてお伝えします>