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完全試合を継続中の投手が申告敬遠で打者を出塁させる。その理由は!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
マックス・シャーザー(テキサス・レンジャーズ)Sep 3, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月7日、マックス・シャーザー(テキサス・レンジャーズ)は、4回裏の2死走者なしから、申告敬遠で打者を出塁させた。それまでは、11人をいずれもアウトに仕留め、完全試合を継続していた。

 もっとも、これは、メジャーリーグではなく、AAAの試合だ。公式戦ではあるものの、シャーザーにとってはリハビリ登板だった。賛否はさておき、塁上に走者がいる状況でも投げたい、という意図があったのかもしれない。

 そこから、走者に二盗を決められ、次の打者も与死球で出塁させたが、シャーザーは、その次の打者から三振を奪い、イニングを終わらせた。そして、5回裏のマウンドには上がらなかった。4イニングで53球を投げ、被安打ゼロ、与四球1、与死球1。奪三振は8を数えた。

 シャーザーに歩かされたローガン・デビッドソンは、オークランド・アスレティックスに在籍している。2019年のドラフトで、全体29位指名を受けた。まだ、メジャーデビューはしていない。今シーズンは、AAAの77試合で打率.289と出塁率.352、10本塁打と6盗塁、OPS.837。6月下旬には、こちらもリハビリとして、ルーキークラスの3試合に出場した。

 ちなみに、デビッドソンの次に指名された、2019年のドラフト全体30位は、アンソニー・ボルピー(ニューヨーク・ヤンキース)だ。ボルピーと同じく、デビッドソンもプロ入り前は遊撃手としてプレーしていたが――プロ入りは、ボルピーが高校から、デビッドソンは大学から――ボルピーと違い、現在は内外野を守っている。

 また。デビッドソンの父、マーク・デビッドソンは、1982年のドラフト11巡目・全体266位だ。1986~1991年に、ミネソタ・ツインズとヒューストン・アストロズで計413試合に出場し、打率.225と出塁率.289、6本塁打と15盗塁、OPS.592を記録した。

 なお、マイナーリーグにおいて、シャーザーが打者を敬遠したのは、今回が初めてだ。一方、メジャーリーグでは20度を数える。その最後は、ワシントン・ナショナルズ時代の2020年だ。1対1の6回裏、2死一塁から、盗塁によって走者が二塁へ進んだところで、ミゲル・ロハス(当時マイアミ・マーリンズ/現ロサンゼルス・ドジャース)を歩かせた。この時は、与四球と一塁手のエラーによって1点を取られ、この時点で降板。試合は、1対2のまま終わり、シャーザーには黒星がついた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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